ゾロ

コヴェナント/約束の救出のゾロのレビュー・感想・評価

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)
4.0
ガイ・リッチー監督が描く
社会派ヒューマン・ドラマ

是非、映画館で見てほしい

米国のアフガン撤退後、亡命を約束されていた
数多くの現地通訳やアメリカに協力した人達は
タリバンに家族もろとも処刑された
彼らへの鎮魂歌でもある

良かった!見事!

それぞれの人物描写が本当に丁寧で
フィクションかと思えるほど…
たくさんの情報収集と取材をしたんだろう

特に、二人の奥さんは台詞少ないのに
無力感とやりきれない気持ちが
痛いほど伝わって、辛くなる
 ○○さんの息子がタリバンになった…
 あなたがいない寂しさは辛かった
 でも、悲しみたくても母の責任もある

主人公は無双だろう…と思いつつも
命の危険を感じる緊張感が凄い!

BGMや無音、スローモーション
無線から聞こえる敵の声…ヒシヒシと煽られる

ズームアウトから広大な荒野に広がる絶望感
なんともちっぽけに見えるかけがえの無い命

救出されたら、感謝はもちろんだけどPTSD
回想の視線の描き方に、監督らしさを感じた

心に見えない鉤、呪いをかけられた…
絶妙な言い回し に痺れる

救出に向かった先では、緊張感再び…

そして、圧倒的なアメリカの軍事力を
見せつけられ、無敵!!偉大!!最強!!

…と、終わらず
アフガン撤退後の悲劇を伝えるナレーションで
締めるあたり、監督の真意を伺える

美談だけでは語れない
救われなかった、反故にされた
無かった事には出来ない事実は紡いでいくべき


今も世界中で起きている紛争
あまりにも、儚く呆気なく亡くなる命
任務に疑問や厭戦になっても戦う
やりきれない気持ちにしかならんのよね
8年前に命を救った…
そんな戦時下の絆と信頼は深いはず
ゾロ

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