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コヴェナント/約束の救出のKのレビュー・感想・評価

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)
3.9
8/3/2024 fri シネマイクスピアリ スクリーン11 F10 18:50〜
ほんの少し上手寄りどセンター字幕下いつもの席。


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彼は命の恩人なのか、
俺に呪いをかけたのか

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/しっかり見入ってしまった、かなり良かった〜……

/誠実な映画だったわ〜。三幕構成で、『怒りのデスロード』を思わせるほど非常に分かりやすくシンプルなんだけど、手応えと質量が凄くて腹にたまった。
いつものガイリチ作品と撮り方は同じなんだけど、テイストが違いすぎて驚いた。こんなしっかり目線の定まった、ノンフィクション寄りの映画を撮るのは珍しいんじゃないか?ヴィルヌーヴ映画かと思った。
でも一幕二幕を経て、男男の絆を三幕で取り戻す話運びになっていると気付いた時には、そうだよなガイリチはこういう映画を撮る人間だった、と回帰する気持ちですっかり安心して身を任せていた。

/事前にTwitterで"プロパガンダ映画だという意見とそうではないという意見に分かれる映画らしい"という話を読んでいたので(https://x.com/madosoto/status/1762891615520350518?s=46&t=8G8yO3JxAPisQLZBgCxVaw)、そう言う視点も含んだ映画でもあるのねと少し気にかけつつ臨んだ。
確かにプロパガンダ映画とギリ捉えられるのも分からなくはない描写--例えば米軍兵のスタントが格好良すぎたり終盤タリバンを掃射するのは米軍エアフォースと刻まれたヘリだったりする--もあったから、でも、最後の文章は意図的でしょう。"2021年にアフガニスタンから米軍は撤退、その後タリバンが政権を握る。現地通訳は殺され、今もなお数千人が身を隠している"。
どぎつかった。フィクションであってほしい話がフィクションでないと明かされる、エンドロールの写真たちによって。政府によって利用されるだけ利用され、最後にはゴミのように捨て置かれる命たちにスポットを当てた、誠実な映画だったよ。
(昼過ぎに誠実さとはかなりの距離をとる『ヴィーガンズ・ハム』を観ていたから余計に沁みてしまった。いい映画だよこっちは……涙)

しかし米軍アゲ映画だとして、今時そんな分かりやすい映画撮るやついる?(……TGMくん……)しかし『ボーはおそれている』でも兵士のその後が全くケアされていない描写もあったな。


/銃撃戦や決死の崖下りなどのスタントに力が入れられており、その一挙一動のどれもに質量が宿っていて非常に見応えがあるところがガイリチ作品らしくて満足だった。

/ジェイキーはいい役者だな😢 ジェイキーの映画めっちゃ観てきたつもりだけど、荷物としてひと幕中ずっと運ばれるだけの作品は初めて観たよ。。新鮮で面白かった。上司に詰め寄るシーンあのでっけえ目がずっと死んでるからやばい。

/観てる時は意識してなかったけど、ジョニーリーミラーの文字をエンドロールで観て、上官役だったとやっと気付いた笑笑 え最高!

/"今も彼のことを夢に見てしまう、俺はこうしてベッドに寝そべるのに、俺のせいで彼を穴倉に入れることになった、彼は命の恩人なのか?俺を救うことで俺に呪いをかけたんだ"ーアフメッドの捜索やビザ発行に手間取る米軍との連日のやり取りで錯乱してしまったかのようなここのカットがかなり印象的だった。舞台劇の台詞みたいだ。誰かの存在が呪いに感じられるほど自分に染み付いてしまっている、ということ……。
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