2時間のドラマとして、面白くなかったと言えば、嘘になる。
だが、そもそも論として、我々はアメリカによるアフガニスタンでの軍事作戦が結果的には充分な成果をあげないまま2021年に撤退し、その後はタリバンが政権を掌握してしまったことを知っている。
そのタリバン政権が、女性への人権侵害など問題の多い存在であることも報道されていた。
そうしたアフガニスタン情勢のさまざまな問題点、タリバンが何故産まれ、何故一定の支持を集めてきたのか、それに対するアメリカの姿勢は正当なものだったのか、などなどを全て捨象して、一米軍曹長の個人的なエピソードだけ見せられても、全く納得が行かない。
せめて、何故、功績のあった現地通訳に対して、移住ビザがすぐに出せなかったのかを明示すれば、アメリカ側の問題点も明らかになったのかも知れないが、それも何の説明もないのだから、いっそうキンリーの個人的エピソードにしか思えないのだった。