【旅立ちの朝】
MyFFF駆け込み視聴の思い出しレビュー。
作家になる夢を叶えるためにパリへと飛び出していったジュリアンは、実家の引越しの手伝いをするために久しぶりに田舎へ戻ってきた。
あの時キチンと自分の中で「区切り」を着けないまま置き去りにしたいくつものこと。
父と息子が辿るはずだった道。
感じ取ってあげることができなかったあの子の想い。
何もないと決め込んでいた故郷・・・。
物書きという仕事を選び、自分の言葉を「文字」にして伝えることはうまくなったけど、自分の言葉で伝えることはどうしても下手なジュリアン。
それは「体裁」も「字体」も関係なく、口をついて出た言葉が相手の耳に届くだけの言葉として放つジュリアンの本心。
どんなに年をとっても、建物が変わっても、故郷に帰ってあの当時好んで食べていたチョコチップクッキーを食べればたちまち蘇る「あの時の気持ち」
自分の気持ちを言葉に乗せて放つことが苦手だったから文章を書く仕事を選んだのか、それとも文章を書く仕事を選んだことで、改めて自分が相手にとって如何に不器用な人間だったかと気がついたのか。
当時恋仲だった彼女とこっそり忍び込む夜のプール。
こうして夢中になって泳いでいるだけで幸せだったあの頃。
今、彼女のお腹の中にいる子の父親は、あの頃の自分と同じクラスのパッとしない奴だった。
「え?アイツなの?なんで?何処がよかったの?」
変わっていない当時の想い。
留まることなく流れ続ける時間。
全てが自分にとって都合よく回るわけじゃない。
セ・ラ・ヴィ(それも人生さ)
そしてパリへ帰る朝。
バスに乗って走り去っていくジュリアンへの餞別のパイパイ(バイバイ)・・・・。
そうだ、学生時代にいつか胸を見せてくれるって約束してたんだっけ・・・。
他の乗客が見たらビックリするよ・・・っうかなんちゅう約束しとんねん(笑)
でも、きちんと約束を守った彼女。
変わっていった仲にだって変わらない想いが残る事だってあるのよ。
だからこそ惜別の意味を込めて。
ジュリアンを乗せたバスが走り去った後の、彼女の清々しい表情が印象的だった。
こういう時、悶々と拗らせてしまう男と違って、案外女性ってフォルダーごとの管理が上手にできているもんなのかな・・・・と感じたdmなのでした。