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カフネのKUBOのレビュー・感想・評価

カフネ(2023年製作の映画)
4.0
11月12日[日] ベルブホール
【D-3】TAMA NEW WAVE ある視点―Vol.3―

「私を幸せにする」なんて、誰かが決めるもんじゃない! いい台詞だ。

冒頭、海沿いの道を走る自転車に乗った澪を、港を出ていく漁船越しに追う。アングルが凝ってるなぁ。

引きの絵が美しい。最近、テレビドラマのような寄りの絵が多い中で、映画館のスクリーンで見ることを意識した引き絵の構図がうれしい。

この監督は表情で語らせるのが上手い。私の好きな入江崇史さんの出番で、いつまでも喋らないから「台詞ないんかい!」とか思ったが、これは入江さんと監督との無言の表情の方が雄弁であるという演出なのだ。

私が一番好きなシーンは、後ろ姿の彼氏を挟んで、澪と親友の夏海がこちらを向いて話すシーン。澪と彼氏の会話に反応する夏海の目が印象的だ。

高校生の妊娠というテーマは、古くは『金八先生』の時代からあるが、実際に教師である私は、教師の立場から、あるいは親の立場から、さまざまに共感しながら見た。

教科書のようなきれいな終わり方でないのが良い。もう男はいらないのかもしれない。女性は強くなった。

だが、待ち受けるさまざまな試練は明らかで、澪の明日を見守ってあげたくなる。

山本翠佳、松本いさなの好演が光る。

心温まる良作。

#杵村春希(監督)
#山﨑翠佳
#松本いさな
#木下隼輔
#澤真希
#渡辺綾子
#入江崇史
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