Maoryu002

テトリスのMaoryu002のレビュー・感想・評価

テトリス(2023年製作の映画)
4.0
ソ連の技術者アレクセイ(ニキータ・エフレーモフ)があるゲームを生み出し、1988年、ゲームクリエイターでビジネスマンのヘンク(タロン・エガートン)が権利を得ようとする。しかし、この「テトリス」を巡って西側諸国の企業で争奪戦が始まり、ヘンクは身分を隠してソ連に渡り、獲得交渉を始める。

ビジネスやスリラーは期待せず、“実話に基づく物語” のとおり、実話をアイデアにしたアクションコメディとして観るとかなり面白い。

カセットやゲームボーイなど、懐かしい単語やアイテムがたくさん登場して、当然だけど日本が濃密に話に絡んでくるところも嬉しかった。
ソビエトの政府施設を舞台にして、バイヤー3者がしのぎを削るあたりは、ありえないけどワクワクしたなー。
さらに、終盤はカーチェイスまで始まって、もうグチャグチャのコメディに。笑

やはり、共産圏の崩壊と並行して話が進むところが絶妙で、壊れかけても共産主義の理想を信じる者、私利私欲に走る者、達観する者、絶望する者と、当時の混乱と無法ぶりがうかがえる。
当時、話題になったデイリー・ミラーのロバート・マクスウェルを絡ませるだけでなく、ゴルバチョフまで引っ張り出したのには笑った。

国家の横暴と混乱に翻弄され、一番、可哀そうなのは開発者アレクセイで、彼とヘンクのラストシーンだけで満足度上がっちゃった!

主演のタロン・エガートンは、やはりコミカルでパワフルな役がハマるけど、仕事でコケると家庭を壊しちゃう主人公ヘンクには共感できなかったなー。
そして、いかがわしいビジネスマンを演じたトビー・ジョーンズが、相変わらずのいい隠し味に!
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