ヨーテボリ映画祭にて。
ファンタジックでカラフルでサイケで、時に気持ち悪くて残酷で、ストップモーションアニメも混ざる。不思議すぎる世界。
でも描かれるのはレイプ殺人を偶然目撃してしまった少女の現実逃避と心傷の癒し、トラウマの視覚化。
主人公を子供に置き換えたMeTooストーリーなんじゃないか？って気もする。
冒頭からレイプ殺人描写があるので要注意、それを目撃してしまった少女ブレイズに降りかかる重荷。
父子家庭であることや想像力が豊かなことにより不完全な子とされる不条理。
トラウマ与えただけでなく、この子から平穏とささやかな日常を奪ってしまうのかと愕然とするのだけど、ブレイズは本能的に想像の世界に逃避したり、そこから力を得ているようだった。
ギラギラなドラゴン(？鳥？虫？)はまるで怪獣のような声を発し、セミの脱け殻には何かがいる、その他たくさんの奇妙な映像が登場。それがCGに頼ることなく、人形や着ぐるみ小道具を使用したような手作り感が満載の画になってる。
なんだこれは？の連続なんだけど、ブレイズのイマジネーションと内面の混乱とパワーだと思うとどれもアリなんだな。
なかでもセミの脱け殻は彼女が意を決して行動に出ることを表してたりしないだろうか。
不思議な映像はいろんなことがはっきりしないが、唯一真実を知る少女が大人の不条理に立ち向かう一歩のように見える。
とにかく画ヂカラがすごくてインパクト大。サイモン・ベイカーが父親役で出ているがそれを忘れそうなくらい。
陰鬱極まりない話だし、はっきりしないことも多いが、イマジネーション爆発した世界にやられる不思議な映画。
