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マグダレーナ・ヴィラガのTenKasSのレビュー・感想・評価

マグダレーナ・ヴィラガ(1986年製作の映画)
5.0
実感のない生。
覆い被さる男たちに到達できない"ここ"にいる彼女たちはここには居らず、観念的な言葉を口走り続ける。
マイリー・サイラスの『Flowers』にある "何時間でも独りで話せるし、理解されなくてもなんでも言える"という一説が何故か頭をよぎった。
孤立、孤独、疎外の映像表現が素晴らしく、監獄の扉が閉まるところから仕事をするホテルの一室までずっと閉じ込められ続けている感覚がある。
周囲がダンスしているときにアイダは一人でただ座る。周囲も鏡越しにしか見えず、映像的にはアイダのここにいない感覚が強く出ている。
恐らく"ここ"なのであろうプールサイドでは彼女たちの背中には翼がある。
クレアの名前を呼びながらアイダは画面から消える。

何度も死んだ男の顔に切り返す事情聴取のシーンの不気味さはなんだったのだろうか。
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