試写会にて鑑賞。
「ケイコ目を澄ませて」に続く16mmフィルムでの撮影による映像のリッチ感は映画館で観てこそより堪能できるはず。
パニック障害とPMS(月経前症候群)をもつ主人公二人の自然な演技も素晴らしいし、安直に恋仲に着地させないのもよい。男女間の友情について会話するシーンがあるが、それもケースバイケースで成り立つときは成り立つという当たり前の論理を優しく訴えかける。
上映後に三宅監督が「栗田科学以外にも二人が働きやすい職場があることを示したかった」とおっしゃっていたのが印象的。
反転するとマジョリティである健常者が、身体的、精神的な疾患を持つ人に寄り添い、想像し理解しようと努力する心持ちが本当の意味での多様性社会の実現への一歩になると思う。
栗田科学は一見理想化した会社のように見えるが、他者を想像し寄り添おうとする優しさひとつで実現可能な「今いる一歩先の優しさ空間」を提示している。