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夜明けのすべてのchiのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
3.9
用事が早く終わってちょうどいい時間に上映していたので懐かしの映画館で公開初日鑑賞。
良い映画でした。『ケイコ 目をすませて』で映画賞を席巻した三宅唱監督の新作。ケイコと同じく16mmフィルムでの撮影で、それがこの作品にとてもあっていた。優しくて温かい。特にエンドロールがこれからも生活が日常がずっと続いていく感じでとても良かった。
PMSとパニック障害。とても現代的なテーマ。PMSの描写には、あんなに攻撃的になってしまう人もいるんだと驚いた。自分の意思を超えてコントロールできなくなってしまうのって、社会では大変。周囲の理解がないとまともに働けない。会社の人にお菓子配って謝って回ってるのが、こういう人はずっと頭下げて謝り続ける人生なのだろうなって、前に障害のある子供を持つ親御さんが毎日謝って回るという話を聞いたのを思い出した。(後半に、お菓子買ってきて配るのが社風みたいに言われてたのにはずこーってなった)久保田磨希演じる同僚が、これが習慣になると大変だからお菓子なんて配らなくていいのよみたいなことを言っていたのが本当に優しくて感動した。栗田科学、優しい良い会社だ。会社のスローガンか何か「想像する心 創造する力」が職場の壁に貼ってあった。細かい演出だけど、この「想像する心」が何よりも大事なんじゃないかなと思った。山添くんも藤沢さんからPMSのことを聞いてPMSを勉強してたし、そうやって知ることで相手の状態を考え、想像できるようになるよね。優しさってそういうことなのかもと思った。で、この映画に出てくる人たちはとても優しい人たちだったけど、実際にはそうではない場合も多いんですよねぇ。
終盤のメモの朗読が心に沁みた。あと、髪切るシーンがあったんだが、あのシーンだけめちゃめちゃ面白かった。切る前から絶対あかんやろという長さで堪えきれず吹き出してしまったよ。
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