symax

夜明けのすべてのsymaxのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.0
"藤沢さん…しばらく一人で怒ってもらっていていいですか?…"

月に一度、PMSにより自分ではどうすることも出来ないイライラによりトラブルを起こす藤沢さん…

いつ起こるかわからないパニック障害により、電車にも乗れない山添くん…

二人はそれぞれの生き辛さを抱えつつも、理解ある栗田科学の社員に支えられながら働いている…やがて二人は、友達でも恋人でも家族でもないけれど、何か特別な繋がりが生まれつつある事を実感していく…

何だコレ…何で泣けてくるんだ…何か劇的な事がある訳ではない…でも優しさが心に染みる…

原作は読んだ事ありません、事前に情報を得ていた訳でもない…"ケイコ目を澄ませて"がとても良かった三宅唱監督の最新作だから鑑賞しただけなんです。

本作も前作と同じく16ミリフィルムで撮影され、人物も風景もどこかふんわりとした画作りが心地良い…

PMSという聞き慣れない症状を抱えた藤沢さんを演じた上白石萌音の演技には引き込まれました。

初めはとっつきにくい山添くんを演じた松村北斗もイイ…

やりように寄っては、"泣き"を前面に出せる内容であるにも関わらず、敢えて見せない…渋川清彦の泣きを画面に出さないところは秀逸…むしろ、登場人物の心情が伝わり、観ているこちらもハラハラと涙が溢れる…

藤沢さんと山添くんが変に恋愛関係にならないところにも上手いなと思います。

けっして事態が劇的に良くなる訳じゃない…でも何でだろ…どこまでも優しく、穏やかになれるエンドクレジットにまたもポロポロと涙が溢れるのでした…
symax

symax