はーあ、いやー、これは凄い、素晴らしかった。余計なものは何もないのに足りないものも何もない。温かいといっても恩着せがましくなくて善意の押し売りもない。瀬尾まいこ原作は昔読んでとても良かった印象があるが、映画としても申し分なく誠実な作品だった。
山添くんと藤沢さんはそれぞれに診断を受け、病名がついている。対して、二人の周囲の人達に病名はついてはいない。だが、だからといって傷ついていない訳では無い。人知れず喪失感を抱えて生きている人もいる。
夜明け前がいちばん暗い。生きていくのは困難で、自分の不調はなかなか改善されない。それでも、相手を何回かに一度は助けることが出来るかもしれない。相手を理解すること、想像すること。
松村北斗と上白石萌音、彼らを取り巻く役者陣も素晴らしい。特に松村の元上司、渋川清彦にやられました、号泣、号泣、大号泣。
脚本や脚色も見事だったが、視覚的満足度も高かった。自然光、風そよぐ木々、夜の歩道、雨天と晴天、それらが人物の心情を表現してて、尚且つ単純に観ていて心地が良い。三宅唱監督作品を思いっきり堪能できました。
