ねこみみ

夜明けのすべてのねこみみのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
3.5
上映前舞台挨拶中継付きの回を観た。

三宅監督の映画は初めて観たし、原作の瀬尾さんの作品も読んだことがない。
三宅監督は、とにかく謙虚で他人に感謝しよく褒める人だった。映画館のスタッフにも感謝の言葉を述べていたし、監督が褒められる場面があるたびに「それは僕というより○○さんが…」とスポットライトの当たりにくい人たちの功績をしっかりお話されていた。

きっと、こういう監督だからこそ、この小説をこのように描けたのだろうなと思った。

人の人生は、思いは、感じ方は、人の数だけあるということ。
その大前提のうえ、映画では描かれないあらゆる設定をしっかりと役者に伝える。そこに映っていなくても、その人の人生は流れている。

そういうことを、世の中の黒いドロドロしたところは排除して描いたストーリー。
だから、悩みや苦しみはあっても、憎しみや嫌悪は存在しない。

綺麗事を描いているようにも感じられるけど、綺麗事ともいいきれないリアリティもあり、いいバランスで見やすい映画だった。

実際には正直安月給に単調作業で働き続けるのは無理だなと思ってしまうけど、この映画をみている間だけ、この会社で働けたら幸せなのかもしれないと、皆が考えてしまうような世界。

自転車と星空解説が、世界を少し広げ、人生を少し豊かにする。
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