Kaz66

夜明けのすべてのKaz66のレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.3
邦画でもいきなり“傑作”に巡り合いました。
さすが三宅唱監督…。16mmフィルムに収められた“光(と影)”の表現がとても美しく、音楽もまた素敵でした。
(原作に加えられたオリジナルの要素…と思われる)移動プラネタリウムの最後に語られる“星と夜明け”のくだりがグッときました。
大きな事件やドラマは起きない、静かで美しい、人の(優しく支え合う)心に触れるような…、そんな日常の小さな物語でした。

原作は「そして、バトンは渡された」で本屋大賞に輝いた、瀬尾まいこの自身の“パニック障害”の経験をもとに綴られた物語。
監督は前作「ケイコ 目を澄ませて」が賞レースを席巻した三宅唱。
W主演はNHK「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を務めた、松村北斗と上白石萌音。
“パニック障害”で生きがいを失った山添くん(松村北斗)と“PMS”で月に一度思い通りの自分で居られない藤沢さん(上白石萌音)。2人は(人からは理解されにくい)“イヤな自分”と向き合い、NO恋愛のどこか同志のような特別な気持ちが芽生えていく。
更に、2人を取り巻く家族や友人、2人が勤務する「栗田金属」の社長(光石研)と社員(特に久保田磨希)のやさしく見守る演出が素晴らしい。
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