KEKEKE

夜明けのすべてのKEKEKEのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
5.0
- 例えば、例えばですよ、今日ってめちゃくちゃ晴れていて、しかもあったかくて、2月なのにもう春みたいな陽気だったんですよ
- 風は冷たくて、でもジャケットは丁度要らないくらいの気温で、それで嬉しくなっちゃって、昼休みに外に出てドトール行っていつもより少し高いミラノBサンドを買ってみたりして、でこの映画を予約して、レイトショーまで時間があるから冷蔵庫にあった小松菜でペペロンチーノを作ってみたりして
- 今日頬を掠めた風や旋毛を暖かく照らした日光と、それを素晴らしいと感じた自分の気持ちとの間に、これっぽちの悪意も、嘘も介在し得ないなって思ったんです、そしてそれを誰かと共有したいと
- この感覚をLINEで何人かに送ってみたんですが、その時点でなんか違ってきてて、でもコミュニケーションは発生していて
- ここで問題になるのは私と他人との間にある距離ではなく、私と太陽との間の距離、他人と太陽との間の距離であるとこの映画を観て気付きました
- 宇宙と私とを隔てる長大な距離のその大きさが、寧ろ縮めてしまう何かしらの質感みたいなものがあるって
- でもそれって不思議なことじゃないですか、高速で回転する球体の上で蠢いている1人の人間と、一億五千万キロ離れた天体から発せられる光の間に一つの障害もないなんて
- こういう素晴らしい時間が、夜明けで区切られた1日という単位で繰り返され、そんなに良くない時間や普通の時間の間に存在している
- そんな日々を現実が千々に切り裂こうと、星が綺麗だと思う余裕のある一日があれば、それを誰かと分かち合うことができれば、少しずつ前に進めるのかもしれない
- めちゃくちゃ近いのに今の自分からは最も遠く、強く尊い映画でした
- 正直照射される光が強すぎて狂いそうになった
- そして会話シーンで発話と応答の間を空けて、その空白に背景を動かすことで集中の糸を切らさないとか、そうすると異常に間をつめた映画的な会話がまろやかになることとか、ゆっくりと時間が流れるこの映画がそういった数々の確かな技術に支えられたものであることもよくわかる
- あと音楽ハイスペ!
- 人間を信じている人間が撮った映画だ
- 明日からちゃんと社会と関わろうかなーーーーーーーーーーーーーーってね!!!!!!!!!!
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