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夜明けのすべてのleylaのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.3
久しぶりにプラネタリウムに行きたいなぁと思いました。“じんわり”という言葉がぴったりとくる、優しいまなざしで小さな日常を描いた作品。心地よい余韻に包まれたので、このスコアです。

三宅唱監督は人との距離感を描くのがいつも上手い。今作も人と人との距離感がほんとうに素敵でした。男女=恋愛にならないし、涙を流すこともなくあっさりと別れていく人と人。でも確実に人生に刻まれる大切な出会い。リアルだなぁと思った。

主人公の2人はPMS(月経前症候群)とパニック障害で、当事者たちがどのように苦しみ、周囲はどう理解したらいいのか。そして大切な人を失った哀しみとどう向き合うかなど、生きるヒントが散りばめられた作品でした。かと言って身構えることなく押し付けることなく、サラッとユーモアのある作り。

誰もがいろんな苦しみを抱えているけれど、ちょっとだけ相手のことを理解したら誰もが生きやすくなるんじゃないかと思えた。それを実行している“栗田科学”という会社が実に良いのです。社長役には光石研さん。

世の中の人間関係がどんどん浅く冷ややかになっている昨今、ひとつの理想としての会社の見本を見せてくれた気がします。社員たちのさりげない優しさと距離感がよかったなぁ。

人の成長をたい焼きのお土産で表すって、人間臭くて微笑ましかった。大好きなシーンです。

後半20分ぐらいずっと、感動という言葉ではくくれない訳のわからない涙が出たのはプラネタリウムの星のせいかも。三宅唱監督の16ミリフィルムで撮る空と街の風景、エンドロールの続いていく感じが好き。

夜は必ず明けるし、人も変わっていく。

大好きだった朝ドラ『カムカムエブリバディ』の上白石萌音&松村北斗コンビということで期待値が上がったし、三宅唱監督には絶大な信頼をおいて観てしまうけど、期待値を超える素晴らしい作品でした♡
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