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夜明けのすべてのtrmのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

フィルムが映し出す美しい光と暗闇を捉えたカットがとても素敵だった。これは実は「夜についてのメモ」で言われている夜明けのあかるさと、夜の暗闇を表現しているのではないかとも思う。

物語の主役であり、主に扱われたのはPMS,パニック障害だが、
・自死遺族の会に参加する上司たち
・パーキンソン病となった母親
なども登場する。
皆それぞれに日常を明るく過ごしているが、それぞれの夜があり、どうすることもできない夜に苦しみながら向き合いながら生きている。

「夜についてのメモ」はそんな人に、いつか来る夜明け、そして今いる夜にも意味があることを教えてくれる名文だった。わたし自身も生涯付き合っていかなければならない精神疾患を抱えているので、すごく刺さった。上白石萌音さんのナレーションを聴くだけでも価値がある映画だった。サントラとかに入れて欲しい。

一方で、自身と登場人物たちが近すぎてしまい感情を想像する余地が逆に失われてしまって映画をフルに楽しむことができずに客観的に見れすぎてしまい、なんだか損をしたなという気持ちにもなった。わたしの場合は小説の言葉で読む方が物語に慰められるのだろうと思う。

あと、山添くんが通っているメンタルクリニックがあまりにもイマジナリーメンタルクリニックすぎてちょっとそこは拒否感があったが、原作小説ではどのような描写だろうか?都会にはああいうクリニックもあるし、都会的な山添くんの恋人がああいう名医がいる豪華なクリニックを探して連れて行ったというのはありそうだが、、という点だけ少し引っかかった。

また、心の状態が違ったときに改めて見返したい映画でした。
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