れいゆ

夜明けのすべてのれいゆのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.0
少しずつ絡まった心が解けていくような感覚が心地よかった
歳も境遇も近いのに恋愛に発展せずに終わる映画というのは珍しいのかも

さて、彼らの抱える日常生活における生きづらさやコミュニケーションの問題は普遍的なものなのだろうか、という疑問は生まれた。この映画に登場する2人は少なくとも症状が診断されており世間的に病気と認められている。彼らは一部の知人を除いて公表していないが我々視聴者はその事実を知ることになる。その時、心の底からは彼らに感情移入できないなという壁を感じてしまい、プラネタリウムに浮かぶ星から彼らを見てる、というのは遠すぎるけれども彼らは2人だけの薄い膜に包まれていて真にその中には触れられないような寂しさは感じてしまった。
しかしそれでも胸を打つような描写、とくに演出が素晴らしく外側から見ているような映画体験に陥りながらもしっかり胸に残るものはあった。私はこの作品で取り上げられている病気の当事者ではないが、今現在苦しんでいる人たちがこの映画をどのように受け取るか非常に興味がある。
れいゆ

れいゆ