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夜明けのすべての月のレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
5.0
藤沢さんと山添くんは、気が合うけどずっと同じ人生を歩む仲ではない。あくまで互いの人生の一点、まさに星のような存在。ふと上を見上げるとそこにいるって、すごく安心するよね。

原作履修済。映画版も大満足だった。
私は生理とPMSが嫌でピル服用中。そして適応障害とパニック障害とともに生きて3年になる。いち患者としてこれを書こうと思う。


PMSは月イチで必ず来る。ただ、タイミングは読めない。PMSの最中もきついけど、「これが終わったら出血か…」という絶望も伴う。藤沢さんは「怒り」に出るタイプ。新しい環境だと余計に上手くいかない。体質上ピルは飲めない。
すべての退路を絶たれたような状況。
これがあと3,40年続くと考えると……。


パニック障害はある時突然「死ぬかもしれない」という恐怖に襲われる。発作が起きたらどうしようと思い(予期不安)、今までの友だちと、恋人と、仕事と向き合えない。電車に乗れない。激しい運動も怖い(運動の心拍と発作の心拍が似ていてパニックになるため)。
いわゆる働き盛りで、海外に支社があるような大企業にいた山添くんにとって、それは青天の霹靂だっただろう。


【自分用メモ】いいと思ったシーン

①メンクリでの描写
山添くんの彼女は「しばらくっていつですか?」「炭酸のせいですか?」とかなり先生に聞くタイプ。それはもちろん彼を思ってのことだけど、苦しくて明日もどうなるかわからない患者にとっては、耳障りな瞬間でもある。(余計なお世話感)
健康な人とそうでない人の乖離が上手に描かれていた。

②藤沢さんの怒り
一点が気になると少しずつ、少しずつすべての事が許せなくなってくる。瞳で、眉で、喋り方で、グラデーションになって表出する怒り。そうそう、生理前ってこうだよね。もう最終的には地球を破壊したくなって、そんな時に出血してうずくまっちゃうよね。さすが萌音ちゃん。名演技。

③カロリーメイト
本当に、カロリーメイトしか食べられない時期、ある。
山添くんはラーメンを食べていた時に発作が出たので、外食どころか食事そのものも怖いのでは?おせちをいただいてたけど、あれ食べられたかな。プレッシャーになってないか気になるところ。

④過換気症候群のシーン
過呼吸ってこういう音だよねえ〜となった。手が震えて全部手から落ちていく感じもそのまんま。過呼吸の人を見ると周囲の人間にうつることがあるけど、きちんと音声を工夫していたのか、不安にならないようにできていた。(他作品であまりにもマイクが音を拾いすぎて、上映中に過呼吸になったことがあったので安心した)

▶︎ここは映画では詳しく描かれていなかったけど、山添くんが自転車に乗れたのは本当にすごい!!! 心拍数が上がるから怖かったはず。それでもペダルを踏もうと思えた。
徒歩とは、目幅からモノが溢れる速度が違う。風が頬を撫でる。その景色は木々の紅葉は、より鮮やかに、明るく見えただろう。それだけで涙が出た。
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