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夜明けのすべてのmoemiのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
3.5

観た人皆んなの心のやさしさを、きっとそっと呼び覚ます。

主人公たちを取り巻く世界が人も環境も穏やかであたたかすぎて、現実はこんなに寛容じゃないなとも思うけど、でも待ってよ、もしかしたら同じくらい私もいまいる居場所に恵まれてるのかもしれない、とふと思ったりもした。

なんてことない街並みを、やさしい眼差しを向けるように映すのが物語のやさしさにもすごく見合ってた。山添くんが体調不良の藤沢さんに届けものをする時、光さす坂道で自転車を降りて、日陰のトンネルを自転車を押して歩いてくシーンが特に印象に残った。

病気違いで辛さのレベルが全然違うって言われて、私なら心のどこかで傷ついたり腹が立って一線引いちゃうなーって思った自分はまだまだねほんと…

痛みを知ってる人は、周りの誰かの痛みにも思いを馳せられる。それが自分には理解できない辛さ苦しさの類いだとしても。懐はどこまでも深くなれるはず、と再確認。

やさしさも強さも、人と人との絆も、映像のエモさも、ひけらかすことなく等身大に描かれるすべてが気持ちに寄り添ってくれるような。

私たちがどう思おうと、夜と朝に、闇と光に何を見出そうとも、そんなの関係なく夜明けはやってくるんだって。夜明けのすべて。タイトルも良いよね。
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