MMR

夜明けのすべてのMMRのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.7
皆が主人公。日常風景を大切にした優しい映画。

出てくる人がみな優しく思いやりがある。
特に栗田科学の社長や山添の元上司は過去の身内の辛い出来事から、自分たちの心に向き合ってきたこともあり、2人に対しての理解や接し方がとても優しい。
その他の登場人物の描き方も丁寧だ。例えば、藤沢の母親役のりょうもほとんど台詞はないが、彼女の思いが演技から読み取れる。

栗田科学の社内シーンが多いが、主人公2人の会話シーンでも、当然ながら職場なので皆働いている。
表現が難しいが、2人へのフォーカス具合と周りで起こっていることのバランスがとても良いと思った。周囲の音や話し声の大きさや動き。そこからふたりの会話へカットインする場合もあれば、後ろで見守ってる場合もあるし、ただただ別の用事をやってる場合もある。

その感じがずっと続いてのエンドロール。

三宅監督は、前作『ケイコ、目を澄ませて』でも、聴者とろう者の感覚の違いを環境音を使って意識させてくれる素晴らしい表現していたので、今回も音はとても意識して作ったと思われる。

散髪、自転車、洗車、プラネタリウムの解説、パニック障害になって良かったことってある?etc
思い出せば思い出すほど、素晴らしい場面やセリフがたくさんあるので、書き尽くせない。

ただ、何を考え、何に悩もうとも、時間は流れてるし、地球は回っている。夜がくれば、また、朝が来る。
MMR

MMR