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夜明けのすべてのVisorRobotのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

TOHOシネマズ仙台にて、19:00-の回、SixTonesファンの嫁はんとみた。嫁はんは、北斗押しではない。俺は、嫁はんの影響を受けて普通人間よりはSixTonesに詳しいが、ファンというわけではない。どっちかといえば曲とかスタンスとかいいねと思う程度。

監督の前作である『ケイコ、目をすませて』も観ていた。PopLifepodcastでものすごく評判を耳にして足を運んだので、その期待値ですごい映画だと思い込まされた気もするが、ケチのつけようがあまりないとも感じた。とはいえ、地味な映画だった覚えもあり、結局ざっくりと舞台設定が似ている映画として『100円の恋』の方が好きな人間だな俺はと思う。

今回の『夜明けのすべて』を見てそれをさらに強く思わされた。

演技は素晴らしかった。松村北斗の過呼吸とか、上白石萌音のイライラしているときの態度とか、真に迫って感じた。ほかの役者は俺が知識不足なのかもしれないが、あまり有名じゃない人ばかりで、そこにも本気を感じた。

ただ、やっぱりこういう何にも起こらない映画が俺は苦手だ。いや、松村北斗演じる山添が栗田科学への残留を決めるに至ったりとか、逆に上白石演じる美沙が転職に踏み出したりとか、登場人物の中ではでかい変化はあるんだろうけど、そこにぐっとはいりこむことができない。

エチュードのような自然な会話も、難しいことを実現させているんだろうなあとは思うけど、そんなん知らんがなとも思ってしまう。仲良くなる、と裏には仲悪くなる、もあると思う。それを描いてくれないと俺は納得いかない。もちろん、山添の恋人がロンドンへ行ってしまったりとか、あるんだけど。

瀬尾まいこの作品『そして、バトンは渡された』の映画も見に行っていた。あの作品も、優しい世界過ぎてどうなのか、ともやっとしたような覚えがある。まごころがあってもやることがクズならそれはクズだし、どこかで人を思いやる気持ちとか、孤独を埋めあうような関係性とか、そんなに必要なんですか、と。

冒頭の長文モノローグとかパニック障害についてのブログの文章をもう一回画面に映す感じとか、もたっくるしいなあと感じたのだが、もしかしたらそれは丁寧に説明することやバリアフリー性みたいなものを重視するこの映画の態度自体を反映したものなのかもしれない。
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