たこふみ

夜明けのすべてのたこふみのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.5
三宅唱の映画は音がいい。風の音。木の葉と葉が擦れ合う音。今回の映画はいつになく音楽が多用されていたが、それとても邪魔にならない、静かで心地よい「音」だった。

三宅唱の映画は映像がすばらしい。日だまりのなかでのキャッチボール。街の夜景。世界は美しい。

今回、ストーリーがとてもおもしろかった。PMSとパニック障害について、ほんの少しではあるがわかった。自分も、他人事とは言えないと感じた(パニック障害の方)。
最初は仲が良いとは言えなかった主人公二人が徐々に打ち解けて、親友となっていく過程が良かった。二人が安易に恋愛関係に陥らないところも良かった。二人が恋に陥っていたら、安っぽいメロドラマになっていただろう。

三宅唱の映画は、主人公の周囲の人たちを丁寧に描いているところも良い。ただ今回は、上白石萌音が最初にいた会社で、周りの人間が無理解な悪役のように描かれているのは、いつになく紋切り型で、浅いと感じた。

なんと言っても、上白石萌音と松村北斗がとてもよかった。朝ドラ「カムカムエブリバディ」が好きで観てたが、あの二人が共演しているのは不思議な感じがした。上白石さんは相変わらず演技が上手だが、意外にもといったら失礼か、松村君の演技がとても良かった。プラネタリウムの原稿を二人が代わる代わる朗読するシーンは、グッとくるものがあった。

今年に入って観た映画で、今のところ一番よかった作品。
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