ハレンチ学園在学生

夜明けのすべてのハレンチ学園在学生のレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.4
光石研の栗田科学の社長が、自死したその弟の斉藤陽一郎と写した写真を前に「金曜日だから飲んでくれ」と献杯するシーンを見て以降、ずっと泣きっぱなしだった。青山真治の「ユリイカ」の残響を感じたことは言うまでもない(三宅唱が「ユリイカ」を知らぬわけがあるまい)。もちろん泣き続けたのはそれだけが理由ではなく、松村北斗や上白石萌音が人知れずに抱える病にまつわる諸々や、年を経て体の自由が利かなくなった上白石の母親のりょうの姿、そして20年(30年だったか)ぶりに発見された斉藤陽一郎が書いた夜明けについてのメモの朗読などにそれは起因するわけだが、月永雄太の撮影による空気感やHi'Specの音楽にも大いに涙腺を刺激された。三宅唱は、傷を負うものこそが人にやさしくなれる、と囁くように伝えているようで、「慰藉」としての優れた映画と感じた。