同い年

夜明けのすべての同い年のネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

すごいよかった。

自分には、夜明け前を一緒に過ごす優しさが足りてなかったなって猛省した。
自分にだって、夜の部分はあるのに、それを開示しないで、夜の暗闇にいる相手に施すのは、朝側の人間だと勘違いされても仕方がない。「夜明け前が一番暗い」って言葉はどこから投げかけられている(ように感じる)かによっては、ナイフになってしまう。夜明け後の朝を迎えた人間の、上から目線のアドバイスとして受け取られたら、断絶と絶望が深まるだけ。こういうアンジャッシュを私は何度も繰り返してきたんだろうな。惨めで寂しい気持ちにさせてきたんだろうな。弱ってる人の隣で気丈に振る舞うのが、優しさだと勘違いしてた。私も同じ夜の闇にいることを伝えればよかった。手を取り合えばよかった。

栗田科学の人たちがみんな優しくて、私の人生で出会ってきたこういう優しさの人たちを思い出しては、蔑ろにしてごめんなさいって思った。
社長の目標が、「会社を潰さないこと」だったり、社員の目標が「業務の一般化 誰が抜けても大丈夫なように」だったりするのが、みんなが優しくいれる仕組みづくりの一環なんだろうな。自分が属してる広告業界は真反対な気質で、とにかくお金を稼ぐことに必死だし、”かけがえのない人材”を目指すことに必死。結果、全員が無理をしてる。忙殺されて、同僚に優しくする余裕が無い人が多い。栗田科学をお手本に、もっと他人への想像力を大切にできる会社の仕組みを作りたいなって思った。表現に携わる仕事のくせに、すぐ隣にいる社員にすら想像力が回せないのはダメすぎる。

語りすぎない優しさも暖かかった。社長の弟が自殺した理由も語られないし、山添くんの元上司が泣いた理由も語られない。藤沢さんと山添くんがLINEで笑いあった内容も語られない。人間は納得したがる生き物だから、「どうして?」がつい口をつくけど、自分の中だけで大切にしたいって思いの方を優先してくれてる。
ここでも、あ〜自分は苦しさを共有してもらいたくて、語らせすぎてしまってたな…って反省した。苦しさを抱える本人がその苦しさを受容していくペースを優先しなければいけなかった。

優しくなりたいと思える映画だし、なれると思える映画。
同い年

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