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夜明けのすべてのsakiperoのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

人には人の苦しさがあって、分かりはしないけど、分かろうとして手を差し延べることができる。夜明け前が一番暗いっていうよくある励ましの綺麗事じゃなくて、夜を否定しないスタンスなのがよかった。

三宅さんの静かな優しさの撮り方すごく好きだな。他の作品ももっと観てみよう。

始まり:地面に雨降ってる様子
終わり:投げたボールが転がってきてそれを追いかける様子。

好きなシーン
松村北斗と芋生悠の別れのシーンで、「ちょっと外で話せる?」→松村北斗と返答でシーンを終わらせるのがとても良かった。声の震え方とか緊張した空気でその後を表現するの、すごくよいね〜。切なくて品がある。このぐらい語らなくていいのね。
松村北斗と元上司と子供のシーンも然り。台詞で言わず、俳優さんの演技を信頼してるんだなと思った。涙堪える上司の表情が良かった。

全編通して語りすぎず、俳優さんの演技で心の機微が伝わってきて、これがやりたいのよと思いました(メモメモ)。

生理前、いつも死にたかったこととか、過去の嫌なことフラバして過呼吸になってたこと思い出した。主人公のようにイライラするのではなく、とにかく悲しくなって、何言われても涙が出てくるんだよねえ。症状違えど周りからは「あーめんどくせえ」って思われちゃって、それがまた辛くて辛くて。でも自分があんなふうにキレられたり泣かれても、同じように感じるだろうから、めんどくさそうにされても責められなくて。生理前は全ての言葉が矢に見える。新卒で一瞬入った会社、2日で辞めたの思い出した。「生理前になるとああなる人いるから」って小声で歳上の女の人に言われて、それが、今考えると責めてるわけではないんだろうけど、当時は物凄く責められてる気がして、同じ女だからこそ、女の人にそう言われるのが苦しかったな。
このままでは死ぬかもしれないと思って精神薬とかピル飲んで、今はちょっとはマシになってたの、忘れてた。忘れるぐらいにはマシになった。マシになったとはいえ普通にときどき死にたいけど。暗い感情が何年もこびりついていて常態化してる。
友達にこういうことを話したら「人には人の苦しみがあるから、(自他と比べてどうこうではなく、あなたはあなたで)苦しくていいんじゃないですか」って言ってくれたことがあって、それにとても救われたのを思い出した。苦しさって全部理解しようとされるより、あ、そうなんだの方が軽くなる場合がある。誰かの一言とか、些細な優しさで、ちょっと視界が明るくなることがある。あったことを思い出させてくれた。日記みたいな感想になっちゃったな。自分のペースで夜明けまで踏ん張ろうねって感じだね。

喫茶店、『初恋の悪魔』『窓辺にて』でも使われてたところでとても嬉しい。
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