24.03.06 12
病名を語るということについて考えさせられる。
「PMSの症状出ちゃってる」という言い方がどうにも気に食わなかった。
資本主義的な競争社会に蔓延るマッチョな価値観から「生き延び」を中心としたケアの価値観への移行。
その模範となるような企業を違和感なく描きだしていたのはよかった、と感じた。
こぼれ落ちてしまった人たちだけの共同体にしてはならないと思う。世の中すべてがああなるべきだ。パニック障害もPMSも稀有な病気ではない。
上白石萌音さんの、言葉を発さずとも苛立ち・不快感を感じていることがわかる演技は見事だった。
ただ、どうしても彼女のキャラクター造形に苦手意識があって、とてつもなくいい人で、「ちょっとわかっていない」感じがうぐぐ...となった。自転車を持ってきたり、髪を切ったり、、、これは好みでしかない。
栗田科学の人たちの対応はまさしくプロフェッショナルなのだが、主人公の2人の気遣いはどこか的外れな感もあり、でもそれでも前よりは上手く回るようになったからよいよね、ということなんだろうか。少し違和感。
画面構成が良い場面がいくつもあって(たとえば、発作を起こした山添が階段に座っている場面で、左手には社長が、右手には藤沢がいる場面など)、そこは好きだったな。
穏やかに進む分、強い感情の爆発はない。もっと藤沢さんには、「どうしようもなさ」を叫んで欲しい気持ちもあったが、これは私の願いでしかないのかもしれない。
16mmフィルムの質感が良かった。