ぼさー

夜明けのすべてのぼさーのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.5
ひさしぶりに人の悪意が全く登場しない映画を観た。フィルム写真のような映像もよかったしテンポもすごく心地よかった。ここ数年でいちばんくらいに好きな作品だと思う。
大好きな映画『写真家 ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』というN.Y.の写真家のドキュメンタリー作品のような愛すべき生活への暖かなまなざしが感じられた。

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PMSを抱える藤沢(上白石萌音さん)と同僚でパニック障害を抱える山添(松村北斗さん)、そしてその二人を取り巻く人々の物語。病気やケガなど健康上の状態を自身の個性や特徴として捉え、打ち勝つというよりうまく付き合っていく目線で描かれていたように思う。お互い相手の個性や特徴を認め合い、時に支え合い生活を重ねる描写が実に心地よかった。

他人基準から自分基準で生きる道を見出すことの大切さ。そこには劣等感や妬み、ひがみ、不満を気にせずに過ごせる穏やかな日常が描かれていて共感できた。夜空の天体が闇夜の道しるべとなるように、本作が目指すべき精神状態を指し示しているように感じた。

登場人物たちが自身の問題や悩みと向き合い工夫しながら懸命に生きていく系の作品はすごく励まされる。僕の実生活においても懸命に生きている人の話を聞き意見を交わすのはすごく好き。

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僕は先月PMSという女性特有の症状を知ってからPMSに興味を持ち本作を鑑賞した。劇場の7割以上は女性客だったけれども男性の鑑賞をおすすめしたい。僕はPMSの当事者になることはできないけれども女性の心身に興味を持ち、理解しようと努めることは大切なことだと思う。PMSに悩む女性で彼氏がいるのであれば、ぜひ彼氏と一緒に鑑賞して、彼氏の理解と支援を得られるように共に学ぶのがいいと思った。
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