ヤッスン

夜明けのすべてのヤッスンのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしかった。決して他人が完璧に理解することはできない闇はあるが、その距離感でもできる支えあいができる。
その闇の中での距離感だからこそ得られるものもある作品だった。

冒頭のタイトルが出るシーン、雨が降り続ける夜間の車のフロントガラス。一定周期で雨を拭ってもまたすぐに濡れてしまう夜、まさに作中扱われる題材を現したように見える。
そして二人が距離を縮めていく場面のひとつとして登場するのが洗車だ。
カメラはガラスを挟んで反対側から窓を洗う姿を映す。
最初はとりあえずの対策のように1人で洗わされていたのが、いつの間にか2人で洗うような場面も後にある。

全ては語らない一歩引いた距離感が作中のキャラクター同士の距離感とも重なる。いつの間にか互いの症状をネタにできるようになるし、LINEのやりとりも見せない。ただその距離感でも、だからこそできる理解と支え方があるのだ。
プラネタリウムのシーンで、星に譬えた表現も絶妙だった。

夜明け前が一番暗い、というテーマは今後の自分の支えにもなりそうだ。
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