ヤマト

夜明けのすべてのヤマトのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【 ワタシだけの輝き方 】
 一つひとつのカットがどれも愛おしくて、あっという間の2時間であった。何よりも舌を巻いたのは、“リアルさ”である。
 ノスタルジイかつレトロな映像もさることながら、会社やカフェ、セラピーや電車の中などの空間やそこに存在する人々がとてもリアルであった。まさに映画としての魅せ方と、日常としての見せ方が合致していた。たまらなかった。何度でも観ていたい。

 そしてダブル主演だ。
 松村北斗さんが醸し出すあの冷めた雰囲気の人は、ごく身近にいそうである。そのリアルさと、ご本人のカリスマ性が溶け込み、存在感が際立っていた。ハンディを抱えながらも淡々・飄々と生きるようになった姿勢が本当にカッコよかった。足掻くうちに、自分に正直になったのだ。
 上白石萌音さんのパニックの時とそうでない時の演技は圧巻だった。天真爛漫でおっちょこちょいだけれど、確かに悩みを抱えていることが分かるリアルな演技に魅入ってしまう。モーレツに可愛かったことは言うまでもない。そして、くれぐれもハサミだけは持たせてはいけない。
 何だか観ているうちに、このような世界や生活に憧れを抱いてしまった。世知辛い東京の中で、ハンディを背負っていたとしても生きられるのだと。生きなくてはならないのだと。それをこのふたりが教えてくれた。
 ヒトとホシはよく似ている。無数に存在しながら、どれとして同じものは存在しない。だから、そのヒト(ホシ)にあったやり方で、輝けばいい。
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