ももたろう

夜明けのすべてのももたろうのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

辛いときに読んだり見たりする物語にはどこかに救いを求めてて、自分の都合の良いように解釈してしまう節がある。
この映画もそのひとつ。
最近まで仕事でメンタルが沈んでた自分にとって、救いを求めて見に行った映画。

最初の方は自分と重ねてしまって見るのがしんどかった。(パニック障害もPMSも関係ないのにね。)

物語の中で劇的な救いはない。精神的、生理的な問題である以上当然のことだけど、この物語に劇的な救いや一発逆転のような展開はない。
それでも、他社との関わりの中で緩やかにも希望が見えていく様は、腑に落ちたし、自分の今後も同じ道を辿れる気がした。

「夜明け前が一番暗い」
この言葉は物語の山場で出てくるものだけど、この映画の題材を言い表す言葉として相応しいと思う。
自分の場合、最近夜明けを迎えて少し明るくなってきた。
また夜が来て、夜明け前が訪れることが何度かあるのだろうと覚悟はしてるけど、そのときもこの言葉に救われると思えた。

物語の冒頭、母が藤沢さんを迎えに来たときは土砂降りの雨だったのが、ラストあたりで、藤沢さんが母を見送ったあと天気雨になっている。
症状に劇的な回復はないが、上手に付き合っていけそうなことを示唆しているようでよかった。

穏やかに救われる映画だった。

ちなみに、物語の冒頭、藤沢さんを迎えに来た母がペンを落としたのには何か意図があったのだろうか。それが少し気になる。