ヨーサン

夜明けのすべてのヨーサンのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

何かを抱える人との関わり合い方を考えさせられる映画だった。
発作を起こして早退した山添に対し、美紗は「お互い頑張ろう」と距離を詰めようとする。このシーンが見ものだった。
山添は俺の何が分かるんだと、分かったふりをするなと突き放す。
しかし美紗もそこで諦めずためになろうと行動を起こす。この行動を起こすということが対人関係において非常に重要なことなんだろう。
その行動が山添の行動を起こし、2人は少しずつ距離が縮まっていき前に進んでいく。

終盤になると2人とも表情が穏やかで、人と積極的に関わろうとする姿勢が見られる。
その人に寄り添うとする、理解しようとする行動が、自分・相手共に前に進ませてくれるんですね😌

松村北斗さん結構イイですね!真犯人フラグの刑事役の人も好き。

あとラストシーンのお母さんを見送る美紗は雨が降っているにも関わらず、にこやかな表情。
比べて、最初のバス停のシーンは雨が降っているとそのままなだれ込むように倒れ込む。
この「雨」が色々な障害を表しているんじゃないかな?
雨が降ってるがままにされる最初と、雨をそのまま受け入れるラスト、この変化が美紗の成長
を表している、と思われる。
でも傘はさしたほうが良いよ?

とても温かいストーリーだった、いや、生ぬるい。おかゆ🥣冷めたお風呂のよう。

「この映画では、症状が起こるシーンは描かれるがそれになった経緯、山添のトラウマについて詳しく描かれない。何も起きず、」とここまで書いて、ふと社長と上司のグループセラピーを思い出す。
私は、困難を乗り越えなければならない、トラウマに真正面から向き合い、根本から変えなければまた同じことが繰り返される!と喝を入れようとしたのだが、
社長も上司も近い人を亡くしてから、5年とかの月日が流れたあと、しっかりグループセラピーに参加して自分と向き合っている。

これぐらい、自分と向き合うのには年数がかかるものなのだ。今は丁寧に毎日を人と寄り添いあいながら生きてけばいいんだ。
ということを描いているのではないか?と考えてみると三宅唱、素晴らしい監督です。
でも男女間の友情だの何だのってところだけは要らないです。

この映画は、理想の夢物語の生ぬるいおかゆのような映画ではなく、来たるべきトラウマとの対峙までの、今をゆっくりと少しずつ前に進みながら、生きていくという映画なのだろう。
ヨーサン

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