矢吹

夜明けのすべての矢吹のレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.2
これは、人の居場所の映画。
つまり、星座でもあるっす。
自分を中心にして、もしくはあえて外して、今いる愛すべきコミュニティの中で、どれだけ愛を持って自分を愛せるか。人間社会を形作る一つであると理解できるか。
宇宙の中のたった1つにすぎない星の、なんたる無力さを自分に許せるか。
勝ったとか負けたとか、そんな小さいことで人生やってないんですよ。のやつだ。やつですよ。
まじで羨ましいのよね。そう思えたい。
人生の素敵な時間を獲得する方法は、
誰にでもあるはずですからね。
どんな場所にいても、結局は、こちらからちゃんと向き合えばってことでもありますよ、まあ、これは世界一意味のない言葉でもあり得るんだけど。
って保険をかける時点で、俺は本当に未熟だってことなんですけどね。すみません本当に。
特に、最初の松村北斗さんのスタンスがめっちゃわかってしまって客観的に見て、やっぱりすごく恥ずかしかった。
向上心がないですね。とかさ。
今の自分は仮の姿で、本当はもっとすげえんだって、本気で思えちゃってるというか。
僕は流石に部屋でエアロバイク漕ぎながら上司とビデオ通話はしないので、降りますからね。そこまでではないはずなのだけど。
勿論、どちらも悪ではないのだよ、ただ、足引っ張られてるみたいなスタンスで周りの足を引っ張るのは違うだろって言う。
この解像度の変化、夜明けの全て。

同じ雨でも、あんなに違う。みたいなシーンにも表象されているけど、
ちゃんと同じ気持ちで、同じものを見つめる時間がいかに尊いかって話。見上げる時間。
そして、このフィルムが映されているスクリーンも見事に立派な光なわけです。
映画とプラネタリウムの親和性に包まれる。めちゃくちゃ優しく。

とあるシーンで、
もはやこれが人類最初の映画かと思ったのよ、
自転車のシーンの距離感に。
写真に近いような。他人の自画像みたいな。
実はカメラなんてものは回っているだけで必要十分スペクタクルみたいな。
映画が何周もして、重ねて、繋いで、一旦100年続いたから辿り着いた、とある光であることは間違いないし。

別れる瞬間とか、好きだったかもしれない時間とか、わざわざ描かなくていいんだな、日本に数多ある、他の恋愛映画がやればいい時間の省略が、故に良すぎる。

上白石萌音さん、民放ドラマのちょけ具合とは全然違うし、当たり前に、緻密に構成された人間性の出さ引きが見えるから、当然、よりいい女優だと実感できて、めっちゃ良い。
シンプルな美味しいとか、見てるだけで頭が痛くなる大ミスとかもあるけれど、
土日休んだら月曜しんどい、みんなそう。
普段は気を使えるんだけど、みんなそう。
みんなそうって言う、SNSが生み出した、一つの呪いでもあるんだけどさ。
だからこその、生の声がダイレクトに届いた、パニック障害の引用もちゃんとあったから、それもまた、あるべくしてある作品。
PMSなら何言ってもいいとか、パニック障害なら何言ってもいいとか、エアバッグ万歳の会話も気持ちいいんだけど、そもそも、そんなんじゃなくて多分、みんながみんなで、弱みをさらけ合い出せればいいんだけどな。
みんなそれぞれ、生きてるわけだから、つまり、抱えてるものはあるわけだから。
話若干逸れるけど、これ結構、全人類呪術師にする計画に近いんだよな。術師から呪いは生まれないから。話逸れたけど。

音楽の人、ハイスペックさん。
夜の街明かりが一つずつ点いていく感じの音が心地よかった。言うなれば、それこそ夜明けでいいんだけどさ。
助けてあげることはできます。3回に1回でも、それ以上でもそれ以下でも、なくていい、最高ですね。

これよかったらどうぞってコミュニケーションってのもさ、いいもんですねよ。
人間なんて所詮、第一印象ではわからんって。
人は見た目が9割、見たいなさ、人間の攻略本が横行してる世の中だけど、そんなもんかなぐり捨てろよってことですよ。
グリーフケアの、居場所だってある。

月を親指で隠す映画とな、おじいちゃんたちが月に行く映画、よくわかってなくて、まだまだ勉強させてもらえると、ポジティブに捉えさせてもらいました。誰か教えてください。

東京では星が見えないなって言うけど、見えないこともないんだなって誰かが言ってたけど、
また朝がやってきます。
死んだら何もなくなるわけじゃないです
別に、今あそこにあるような星にはなれなくても。

地震のシーン。停電のあとの、夜。
街の風景。
見せ方として、巧妙な、作品内のドキュメンタリーや面接があって、
ラストもやっぱり日常にお邪魔しましたと告げて帰る感じですわよね。ザ、三宅さんだ。

なによりも、映画や物語として、あまりにも、と思ってしまうくらいに、とっても素晴らしい会社でしたよね。
栗田さん、卓球レフティなのがめちゃサイコーでした。
矢吹

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