しゃりあ

夜明けのすべてのしゃりあのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.1
バンナム社内めちゃくちゃ出てきて泣いちゃった
メモ
もともと三宅唱はそこまで刺さる感じじゃないのでそれを前提に

優しい映画だという前評判を聞いていたので、
てっきり現代社会の荒波に揉まれながら、互いに相互扶助しながらどうにかしていく話かと思ったらまた違う味の映画だった

とりあえずは「やさしい映画」というよりは、「やさしくあろうとする映画」という印象だった。


この映画は「やさしい」モチーフに満ちている。
やわらかい光、やさしい同僚のおばさんとおじさん、こどもたち、実家からの仕送り、手編みのてぶくろ

主人公二人はメインに取りざたされているPMSとパニック障害以外のストレス環境からもう既に離れている
だからこそ、この上でフォーカスされるのは"病気"との関わり方であり、セルフマネジメント的な部分だ
それの周辺はぼやけないよう「男女の友情が成立するかとか、どうでもいい話をするひとがいますよね」と明示されるように丁寧にオミットされている

HSPなど、自己の悩みを中心としてアイデンティティを形成している人間は結構いるけれど、

やさしい
光 こども 手編みの手袋 など
つみかさなる
イメージ

ゆっくりと流れる時間 ゆったりとした会社
人と人の繋がり

ケアラーとケア
自己救済

PMSとパニック障害同士のいじり、それによる関係性

繋がない手、触れない身体、公的でありながら私的なケア

現実と離れたサナトリウム的な
現実は苦しい 苦しさは持続している

しかし、逆に言えばそれこそが、夜明けのすべてである
生活が、空想が、夜空に輝くように、
私たちは回転して、回っていく

私たちがゲロを吐いている時、背中をさすってくれる手
吐いている胃液の味 喉が焼ける感覚

だけど優しい
ちょっとだけでも

さすってくれている手のひらだけを意識してみる 一度
振り返る 他の人の生活を意識してみる