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夜明けのすべてのmuuumのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
3.9
これは観て良かった、
そう素直に思えた映画でした

それぞれの物語が、このまま
続いていくように心から願いました

原作は未読ですが、こんなふうに
絶妙なバランスでできているのか、
とても気になりました

人に優しくすることって、
損をしたり、無駄なんじゃないかと
思うことがよくあります
生きることへの損得、
タイパ、いかに効率よく生きるか

ただ、それができるのは、
すべてのことがクリアできている
からの話で、もし自分の心身に
問題があれば、それも簡単に叶うもの
ではなくて、その問題を中心に
改めて作り直さないと生きられない

そんな主人公のふたりが、
不器用ながらも生きている姿が
とても良かったです

ふたりの声がとても良くて、
この物語の心地よさの
重要なポイントになっているのかも、

上白石さんの、いい意味で自然で普通すぎる
あの様子がとても良くて、
松村さんも、いい意味でオーラ無から徐々に
覇気を取り戻していく感じが
とても良かったです

しかし脇役のみなさんが
素晴らしすぎた
水のようにいてくれる
その存在に救われました

上白石さん演じる子、優しすぎるけど
同姓から見て、ちょっとうざいと感じる瞬間もあるかも、とも
部屋がこの生活から見ると
少し豪華すぎるかも、とも

冒頭で、上白石さんの親役、
りょうさんがボールペンを落とした
シーンに「なんで?」と思ったのですが
後々理解できました

なにより、あの会社
栗田電機がとても良かった

たぶん、東京の下町にある小さな会社
人間同士のやりとりがまだ
普通に行われていて、
スピードも気持ちゆっくり
マイノリティと呼ばれる人たちが
しれっと存在しているような
普通にいられるような
優しい場所でした

音楽もワンパターンのものが
繰り返し使われている心地よさ
映像もドキュメンタリーのような質感が
この物語には、とてもよくあっていました

三宅唱監督の名手が光る、
またよい作品が生まれましたね

この映画にででくるような人たちが、
生活に困らず、普通に生活できるような
社会になってほしいと心から思いました
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