アヴァロン
0と1の楽園
世界が“一つ”である必要はあろうか
点数付けにくい!
かなり好き嫌いは分かれそう。個人的には(肯定的な意味で)憎い映画。
とりあえず川井賢治の音楽は素晴らしい。だがここで特筆したいのは音楽ではなく映像について。
アニメと実写の融合?映像処理が非常に風変わりな作品でした。実写として撮影した映像の色彩や質感を加工した独特の映像には正直かなり違和感を覚えましたが、映画を最後まで観ることでその意図が分かりました。国内外で本作は高く評価されており、押井自身も満足しておられるようで。
時代を見越したテーマや斬新な映像演出などは当時の視聴者に衝撃を与えたことでしょうが、個人的に大好きかと言われると、かなり微妙。
実写の映像をアニメのように処理するにあたって、あえて情報量を落としたサイケデリックな映像の中では低予算のCGもむしろ理に適っているが、しかしどうしても出演するキャストやエキストラ、そして実際に撮影で使用された兵器類は加工したところで“本物”に見えてしまう。「偽物に見えない」ことに違和感を覚えるという経験は初めてである……。
あくまで今時のハリウッドのハイクオリティなCGに慣れてしまった者の偏狭的な視点ではあるが、どうしてもこの違和感は違和感としてのみ映ってしまった。
キャストの演技、動作の数々にかなり違和感を覚える。言ってしまえば素人臭い。
何はともあれ出来上がった作品は押井守のヴィジョンを明確に反映したものであることは間違いなく、それを理解する姿勢を視聴者には求められます。
観る人を選ぶタイプの映画と言えばそれまでですが、風変わりな映像を楽しみたい人ならば観てみてもいいでしょう。憎いことに映画のテーマはいつだってタイムリーです。
2022年38本目