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死霊館のシスター 呪いの秘密の06のレビュー・感想・評価

3.6
深い闇に引き摺り込まれそうな雰囲気作りと、観客の予想を裏切るカメラワークを駆使し、観客の恐怖を煽るだけ煽って──ダサい幽霊の姿で落とす。

これはもう死霊館シリーズのお家芸なのかもしれない。


この映画、”幽霊が登場しさえしなければ”とんでもなく恐ろしいのだ。なんせ前作もそうだが、悪魔と戦うのに神の祈りが効かない。神父やシスターは、拠り所のないまま悪魔の罠に翻弄される。信仰心を嘲笑われる。その建付けの時点で既にホラーだ。

なのに、敵(尼僧姿の悪魔)が現れる度に恐怖感はゼロになる。だって、どう見てもクオリティがお化け屋敷のマネキン。目がやたら金色に光るのは、絶対LED電球仕込んでる。僕の隣席の人なんて、シスターが出る度に、鼻で笑うのを我慢できてなかった。
その気持ち、わかるぞ。

しかし、このバランスの取り方こそ今のマスが求める「ホラー映画」なのかもしれない。
雰囲気は怖く。モンスターは怖すぎず。
「IT」以降そんな風潮がある気がする。
確かに、本当にコワすぎると、ホラー映画好き以外は観に来ない。興行を考えると正しい方向と思える。

その薄れた恐怖のかわりに盛り込まれるのが、後半のパニックアクションだ。もうジャンルがホラーですらない。

ただ一作目と違い、今回良かったのが、登場人物が「女子供ばかり」ということ。非力な彼女達が悪魔をどうにかしようとするので、観てるこっちも手に汗握る。韓国映画並の容赦ない暴力も、良いエッセンスだった(そもそも悪魔と肉弾戦……というナンセンスさは置いておいて)。

しかし、全編通して観た感想としては、彼女たちが思ったより「祈らない」。昔のアクション映画ではよく、窮地に陥ったモブが祈りの言葉を唱えるというシーンがあったが、全体的に神の存在が薄いのだ。
タイのホラー映画「女神の継承」でも、インドネシアホラー「呪餐」でも、神の存在をあざ笑うように、”いくら祈っても無駄”という描写があった。そして今作。

神の威光が薄れているのは、制作陣の意図なのか?それとも世情なのかが、とても気になる。
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