三樹夫

地球爆破作戦の三樹夫のレビュー・感想・評価

地球爆破作戦(1970年製作の映画)
3.8
冷戦下のアメリカでついにスーパーコンピュータが完成した。この感情に流されず論理的なコンピュータに国防システムのすべてを委ねればもう間違いはないとスイッチを入れ起動させる。しかしソ連も全く同じようなスーパーコンピュータを開発しており、コンピュータ同士で勝手に情報交換をしだす。アメリカとソ連は回線を切断するが、一刻も早く回線をつなげないとミサイルを発射するとコンピュータが脅してきた。科学者は電脳のフランケンシュタインを作ってしまったのだった。コンピュータを止めようと人間たちは策を講じるがというSFサスペンス。

世界平和のためにコンピュータは感情に流されず論理的な結論を出す。別に人間を滅ぼすというわけではないが、自由のない世界平和か、幻の自由のある危うい世界かと考えるが、考えたところでもはやコンピュータ様に逆らえない。捉えようによっては能天気でいられるかもしれないが、え〜こんなのヤダ〜というのは拭えない。コンピュータに頼るのも考えものですなとニヒルな顔をキメてしまう。周りが慌ててなんとか逃げようとする中もはや諦めた顔で座っている長官が印象的だった。

硬派な雰囲気が漂うが緩急の緩が必要と思ったのだろうか、何このシーンという脱力シーンがやってくる。コンピュータが主人公の1日のスケジュールを事細かに決め常に監視しあれこれ口出ししてくると、突然小姑みたいになりだす。唯一コンピュータの目を欺けたのが偽装週4回のベッドの上での逢瀬で、物ナメで役者の裸体隠す演出久しぶりに観たな。なんかもうこのシーン真面目にやってるのかふざけているのか分からんかった。

オープニングでガチャガチャするレトロな動作音にドットの荒い文字のクレジットと、コンピュータの存在を印象付ける。そして奥から手前へ段々灯がともる画がオシャレ。当時の最先端コンピュータの演出がされているが、今観るとレトロフューチャーでそれもまた良き。
ほとんどがセット内での撮影だが、美術に力が入っており観ていて楽しい。室内へのコントラストで抜けの画が欲しかったのか、外に出た時にはやたらロケーションのいいところで撮影をしてる。
監督は『サブウェイ・パニック』の人で、 ユニバーサルは当時テレビもやっていたので70年代は映画もテレビ映画も色々監督している。『サブウェイ・パニック』は傑作だしこの映画も確かな演出だしで、有能な職人監督の腕を堪能できる作品だった。
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