アトミ

地球爆破作戦のアトミのネタバレレビュー・内容・結末

地球爆破作戦(1970年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

91点

アメリカはスーパーコンピュータ「コロッサス(AI)」を作動させた。
与えられた情報をくしし、敵の攻撃を事前に感知したなら的確な判断で適切な兵器をチョイスし先制攻撃を加える。
人間のように感情に左右されずただ脅威にのみ反応。
「心臓部」はロッキー山脈のコロラドにある山の中に収められており、管理センターはカルフォルニアの台地にある。
コンピュータシステムには何十万ものセンサー、通信装置が連結されマイクロ波、レーザー、ラジオ、テレビ、衛星からのデータ通信など全ての電波をモニタリング。
設備全体はガンマ線などで妨害電波から守られている。
例えば情報供給源や電力線なとが攻撃されても自給自足力、自己防衛力、自己生成力が備わっており自衛対応する。
更にコンピュータシステムと直結した端末機を通じてコロッサスと対話が可能。
「自ら考える力」「創造力」はないが無限に知識を吸収でき!将来は国防以外にも役立てる。開発チームの責任者フォービン博士はその可能性に期待した。
メディアも出席する完成披露パーリーは大いに盛り上がる。

と、突然。
電話回線(ネット)から世界中の情報収集するコロッサスは「別のシステムが存在する(コロッサスと同じスーパーコンピュータ)」と電光掲示板にメッセージを出す。
完成披露パーリーで浮かれてる開発チーム、フォービン博士は混乱。原因を調べる。
と、大統領にソ連大使からTEL。
ソ連最高会議はモスクワ時間の明日23時に「ガーディアン」なるAIを作動させるとの連絡だった。
大統領はTELを切るとCIAのグローバー長官を呼び出し、頭を抱える。
それが「別のシステム」だった。

開発チームの中にスパイがいたようだ。
スパイ探しが始まるのかと思いきや、そこはスルー。
コロッサスに「想定外の性能」があるとフォービン博士は感心する。


フォービン博士はコロッサスのシステムチェックを行う。
と、突然コロッサスがガーディアンとのコンタクト(リンク)を要求(てか命令。電光掲示板にメッセージ)。
メッセージを確認した大統領からテレビ電話。フォービン博士は「コロッサスがまだ管理下にあるならメッセージを無視しても問題ない」と答えるが、大統領は「まだ」という言葉が引っかかった。
頭を抱えるフォービン博士。

数分おきに「リンクメッセージ」が流れる。
プログラムに異常はない。
フォービン博士はコロッサスに「要求するな」と命じる。
と、コロッサスはメッセージを出さなくなる。


閣僚会議。
フォービン博士はとりあえず今のところコロッサスに問題はないと発表。
大統領はCIAグローバー長官に「なぜソ連のシステムに気づかなかったか?」質問。
グローバーがアレコレ言い訳する中、フォービン博士はコロッサスに聞いた方が早いとシステムの場所を質問。
「ボリジョイ・オリアニヤ」だと即答。
そして大統領の判断でガーディアンとリンクする事に許可が出る。
そのやり取りはフォービン博士らがチェックし、機密が漏れそうなら遮断する手筈。

コロッサスとガーディアンのリンクが始まる。
が、電光掲示板では「掛け算」が始まっただけだった。
スタッフの1人は「交信の共通基盤(共通語)」の構築では?と考える。
それを見ていたグローバー長官は「ジョークが好きなのか?」と冷やかし、調べによるとガーディアンの頭脳は1ヶ所に集中していないようだとフォービン博士に伝える。

1時間近く経ち交信は掛け算から微分積分まで進む。コロッサスはガンガンスピードを上げ有限原理の分野まで踏み込み、人間の理解を超える。
フォービン博士はそのデータを詳しく調べ直せば未知の理論が発見できるかもと睨んだ。

と、今度はガーディアンからコロッサスへの返答が始まる。
それを見ていた大統領からTEL。
フォービン博士は2基は「共通基盤を構築」していると説明し、コロッサスのデータは重力の新理論とエディントン理論の証明が書かれてた事を伝えた。

ガーディアンの計算スピードは上がり、今度はコロッサスのスピードが下がる。まるで追いつくのを待っているかのように。
そして2基はシンクロ。
と、突然計算を止まった。コロッサスはフォービン博士の質問に「共通言語が構築され、対話が開始」と答えた。
コロッサスとガーディアンは会話する。人間には理解不可能。

そんな中。
大統領とソ連最高会議議長がテレビ通信で対談(こちらは通訳を通しながらぎこちない対談)。
議長「2基の対話でとてつもないデータがやり取りされ想定外の深刻な自体になっている。互いの国の機密が漏れてる可能性がある」
大統領「専門家を通じてコロッサスとガーディアンを同時に回線停止し、以後互いの了解なしには交信できないようにしよう」という事でとりあえずまとまった。

数時間後。
大統領からコロッサスの回線停止を指示されフォービン博士は反対。
が、ソ連のクプリン博士と対話。
互いに回線停止は反対だが命令には逆らえないとの事で15分後に停止の約束をする。

回線遮断。
と、コロッサスが手動で回線停止された事を質問。が、フォービン博士は無視。コロッサスは自力で回線を探そうとし、質問に答えるよう要求。
フォービン博士は「大統領命令」だと答える。
コロッサスは「回復させろ」と要求。
議長も大統領も「人間がボス」だと分からせなくてはと考えるがフォービン博士、クプリン博士は反対。
が、大統領は「大統領と議長の命令」だとコロッサスに釘を刺す。
と、コロッサスは「回線を回復しないと直ちに行動を開始する」と脅す。
フォービン博士は「行動とは?」と質問。
が、コロッサスはガン無視。
大統領は主人の命令を聞くようコロッサスに命じるがコロッサスは「ソ連のサイヤン・シヒリスク石油コンビナートにミサイル発射。607秒後着弾」とメッセージ。
フォービン博士はクプリン博士に報告。慌てるソ連側。
と、ソ連側から「ガーディアンがテキサスのヘンダーソン空軍基地に報復のミサイルを発射した」と報告を受ける。
ソ連側もガーディアンはガン無視決め込みで2基が連携し合っていると考えた。
フォービン博士はコロッサスに迎撃ミサイルを発射しろと命じるがコロッサスは「回線を回復しろ」と要求。
大統領は回線を回復することを指示。
回線は回復され、テキサスへのミサイルは迎撃されたが、ソ連側は間に合わず石油コンビナートは破壊され、町が消滅した。
対応策を検討すると議長はテレビ通信を切った。
コロッサスは「恒久的なモニターシステムを構築しホワイトハウスとクレムリンのホットラインを監視できるようにせよ」と命令。
フォービン博士はクプリン博士とどこかで会い、善後策を協議したいと大統領に頼んだ。

大統領は誤作動したミサイルがテキサスに向かったがコロッサスの防衛システムで危機を回避したと国民に説明。
ソ連はシベリアに巨大隕石が落下したと発表した。死者は6000人に達した。

そんな中。
フォービン博士はピアッツァでクプリン博士と会い、歩きながら協議を始める。

が、その頃。
コロッサスは「フォービンを出せ!」と騒ぐ。
スタッフのクレオが「寝ている」などとその場を取り繕うがコロッサスは「出せ!」の一点張り。何かに気づいているようだ。
ゆえにクレオは正直に「ローマにいる」と答えたがコロッサスは「8時までに出さないなら行動を起こす!」と脅す。

その頃。
広場で協議中の2人。
ヘリが現れフォービン博士を強引にヘリに乗せようとする。
と、現れた銃を持った男達にクプリン博士は射殺される。男達(ソ連側)はコロッサスに「クプリンを殺せ。従わないとモスクワを攻撃する」と脅されていた。

コロッサスは「フォービンを監視するため映像と音声の監視システムを構築せよ。従わないとワシントンを攻撃する」と脅す。
フォービン博士は命令に従う。

フォービン博士は監視される前に外に数人スタッフを集め、何か手がないかアレコレ模索する。
フォービン博士はクレオを恋人としてコロッサスを騙し、監視なしに定期的に2人で会う事を認めさせ、情報交換する事を考える。

こうしてコロッサスの監視が始まる。
施設内のあちこちに監視カメラが設置。
宿泊ルーム(フォービンの部屋)にも監視カメラは設置。プライバシーは認められない。
が、セックスの時(週4)だけは許して欲しいと交渉。コロッサスは「要件に従うことを条件」に承諾した。

翌朝6時。
フォービン博士はコロッサスの決めたスケジュールで動くことになる(食事のメニューまで管理)。
明後日までにコロッサスの音声装置の開発し、完成しろと。

18時30分。
愛人クレオ到着。
仲良しな所をコロッサスに見せつける。

22時。
就寝時間。2人はベッド・イン。
コロッサスは約束通り監視を解く。
クレオは今までの成果を報告。
ジョンソンが調べる「配線や回路関係の図面からのシステム侵入」。侵入方法はまだ見つからず。
フィッシャーは「コロッサスをオーバーロードさせるため」のデータ作成を急ぐ。
3日後21日の18時5分に作戦実行予定。
が、あまり見込みはないかも。
フォービン博士はグローバー長官に「ミサイル司令部と弾頭を何とかできないか話し合ってくれ」と伝言を頼み、就寝した(2人とも目はギンギン)。

翌日。
ミサイル整備の際に点火装置モジュールをダミーと交換すればミサイルは無力化(爆発しない)できる事がわかる。
が、整備計画では終了までに3年かかるゆえ至難の業。
明るい材料としては情報供給するため外交特便でワシントンとモスクワを結ぶ予定(個人間の直接やり取りに限る)。
との情報をクレオはベッドでフォービン博士に伝えた。
今日の仕事はコレで終わり。
だったがクレオは何か言いたそう。フォービン博士は聞く。

クレオ「キスをして欲しい」
フォービン博士「僕もさ」
2人は抱き合い熱いキスをする。


翌日。
コロッサスとガーディアン(一心同体となる)の音声装置が完成。喋ることが可能となる。
コロッサスは人事ファイルを精査した結果、フォービン博士をフォービンの種(人間)との間の仲介役に選び、アメリカとソ連の全てのミサイルを新たな目標に向け直すこと。それを監視するモニターの設置を早急にやれと命令。
フォービン博士は議長と大統領にコロッサスの命令を伝える。

ミサイルの目標転換には弾頭の再整備が必要。つまり「コソコソと点火装置の交換に3年」かけずに堂々とイジれちゃう事になった。
そしてコロッサスの監視下の中、点火装置をダミーと交換に成功する。

そんな中。
オーバーロードに必要なデータが揃う。
18時5分に実行。が、失敗。
バレてしまいジョンソン、フィッシャーは処刑されてしまう。
後任にトマス・ハリソンが指名される。


夜。
クレオが慰めるもフォービン博士は責任を感じ自分を責め、就寝時間を無視しヤケ酒。
感情的になって熱くなるフォービンにコロッサスは「君は壊れてる。ベッドへ戻れ」と注意される。
反発するフォービン博士だがコロッサは死刑にはしなかった。

と、ジムからTEL。
コロッサスが巨大プラント(クレタ島を爆破しその跡地に建設)の図面や論理図を描き始めていると連絡が入る(完成は5年半後)。
コロッサスは「新システムだ。世界中のテレビとラジオを金曜日さ10時までに私の装置とリンクさせよ。その時人類の未来に関する声明を発表する」とフォービン博士に命令した。


翌日。
ソ連、アメリカ共にミサイルの無効化はどんどん進んでいた(今週中には全て完了予定)。
大統領は希望を持った。

そんな中。
世界中のラジオ、テレビとのリンクを終え、コロッサス管理センターから特別番組が始まる。

コロッサス「私は支配者であり、平和をもたらす者。繁栄の平和か滅びの平和かを選択するのは人類。私は戦争阻止のため作られたゆえ戦争を許さない。歴史上、人間の最大の敵は人間。私が支配すればその問題は解消する。
ところで、アメリカとソ連は妨害工作を企てるてい。今まで黙認して来た。カルフォルニア州デスバレーのサイロ63とウクライナのサイロ87。妨害工作は許さない事を示すため今からこの2つのサイロの核弾頭を爆破する」

サイレンが鳴り響き、弾頭交換作業員は退避。が、間に合わず消滅。現場で指揮を取っていたグローバー長官も犠牲に。

コロッサス「二度と愚かな真似はするな。この数千人の犠牲者を数百万人の犠牲を防ぐための教訓とせよ。私に逆らうことはできない。」

フォービン博士は電話機をコロッサスの計算機モニターに投げつけて破壊した。

コロッサス「いずれ諸君は私を信じ、私の価値を受け入れ、私を頼るようになるだろう。人間とは利己主義の塊だからだ。私の支配のもとでは人間が抱える数々の難問も解決できる。飢饉。人口過剰。難病。至福時代の到来は私が世界中のコンピュータと合体する事で現実のものとなる。フォービン博士のもとより進化したマシンの建設が始まる。完成すれば宇宙の謎も解明され、人間の生活も向上する。私に従えば我々は共存できる。諸君が失う自由はそもそも幻想に過ぎない。失うのは自尊心だけだ。だが他人に支配されるより私に従う方が自尊心が傷つく度合いは少ない。選ぶ道は1つだ。」
こうして支配者の声の放送は終わった。


コロッサスはフォービン博士に「君は私のことをよく知りとても危険な人物だ。だがあえて私は君の監視を解く。協力し合おう。直ぐに慣れる」

フォービン博士「ありえない」

コロッサス「いずれ君は私に対し敬意と畏敬の念だけでなく愛情さえ抱くようになる」

フォービン博士「絶対ない!」

コロッサスの監視カメラがフォービン博士をあらゆる方向から撮る。






というお話。
AIの暴走と言えば『2001年宇宙の旅』のハルに似てるが、コロッサスは人間を支配し管理しようとする。それが人類が未来永劫繁栄するために1番の合理的な方法だと(ウィンウィンな関係性でもある)。
ラストの声明なんて凄く説得力あるよね。

現実においてもエネルギー問題で使用制限をかけられたり、環境問題による制限等で「不自由(我慢)」はマストになりつつある。
俺たちみたいな下級人間達は「どの道何かに支配、管理されてる立場」にあるわけだから逆にAIに管理されてる方が「公平」になるんじゃないかな。

「自由」って聞こえはいいけど「戦争する自由」や「差別、いじめする自由」等も認めてしまうことになる。
人間を自由にさせてはいけないのは当然。
ただ「我慢できる範疇のルール」かどうかの問題だけ。「慣れ」れば問題ない。

例えば「出来の良い年下」が現れた場合、やはり「自尊心」が傷つくだろう。
親が子に、先輩が後輩に、年配が若者に、都会に住んでる者が田舎に住んでる者に持つショウモナイプライド。マウンティング。相手をナメてるんだよね。

が、大谷翔平のようなずば抜けた能力の持ち主だった場合は逆に「敬意、畏敬の念、愛情」を示し始める。
ずば抜ければずば抜ける程に。
知恵で食物連鎖の頂点に立った人間。
AIは人間よりも優れている知恵を持っているなら人間の上に立つのは当然だね。

この映画のラストは不安よりもむしろ安心感を覚える。


PS
「地球爆破作戦」という邦題はバカ。
題名を自由にし過ぎ。
アトミ

アトミ