NAOKI

AIR/エアのNAOKIのレビュー・感想・評価

AIR/エア(2023年製作の映画)
3.9
20代の終わりから30代にかけておれは8年間、中国に返還される前の香港で暮らしていました。
行った頃は50キロ台だった体重が数年で10キロ以上増えました。「飲茶(やむちゃ)」や「中華料理」のせいです(笑)美味いんだもん…

おれの住んでる部屋からはヴィクトリア・パークという広大な公園が見下ろせました。そこに一周2キロのジョギングコースがありました。
よし!明日からあのコースを毎日何周か走ってこのダブついただらしない身体を締めてやる!

何事も形から入るおれは早速ランニング•シューズを買いに行きました。それまでおれはコンバース派で昔ながらの布のスニーカーしか履いたことがありませんでした。
この頃世界中を席巻していたNIKEなどの靴底にエアクッションが仕込まれたような新しいタイプのスニーカーは履いたことがなかったのです。
ランニング・シューズを買いに行ったのにハイカットのバッシューがあまりにもカッコよくておれは黒いNIKEのバスケットシューズを購入しました。

次の日NIKEを初めて履いて公園に行ったおれは驚愕しました。
「なんだ?このスニーカーは?」

ハイカットなのに軽く、足にフィット…まるで身体が軽くなったようにポンポン跳ねるように走ることが出来るのです!
「今のスニーカーってこんなにすごいのか?これ
ならいつまでも走っていられそうだ!」

おれは軽やかにコースを走り始めました。
ちょうど一周(2キロ)走ったあたりでおれは芝生に倒れ込みました。NIKEのあまりの走り良さは運動不足のおれの心臓の限界を簡単に超えてしまったようでした。
あまりの苦しさに「絶対死ぬ!」と思いました。

背中にツンツンと感触があって薄目を開けると5歳くらいの香港人の少女が枝でおれを突いていてお母さんが「そんなもん突いちゃダメ!」と引き戻しているところでした。ガバッと起き上がって
「おれは生きてるぞ!」
…と言いたいところでしたが声も出ず身体も動きませんでした(泣)

こうしておれはNIKEに殺されそうになったのでした。(笑)

この頃「エア・ジョーダン」は世界中で大ブームを巻き起こしており、日本ではエア・ジョーダン履いていると襲われる「NIKE狩り」が社会問題になるほどでした。

そんなNIKEがエア・ジョーダンを発売する前はスニーカー業界ではコンバース、アディダスに敵わない負け組であった…というのは知りませんでした。

そんなNIKEが一発逆転を賭けて勝負に出るお話…

ベン・アフレック先輩…
バットマンでお馴染みの彼はただのイケメンではありません。
監督でアカデミー賞獲ったり(アルゴ)自分が出てない作品の脚本に名を連ねたり(最後の決闘裁判)才能あふれる映画人です。ブラピと同じですね…

盟友のマット・デイモン…腹の出た中年親父を熱演…彼のことだから役作りで「だらしない身体」を作ったのでしょう。
まだNBAに入る前のジョーダンの試合をビデオで観ながら彼がチームや監督に信頼されていることに気づくシーンは白眉です!

ベンアフ監督はあの時代を音楽、美術、そして映像を使って見事に再現しています。そしてついこの間のことなのに(おれにとっては)その世の中の変わりように愕然とします。資料はVHSビデオで携帯もなかったんだよな〜

めちゃくちゃ面白かったです。
こういう映画は上がるよな〜

この映画観てNIKE欲しくなる人多いだろうな…運動不足解消に一発走るか!って気をつけてね…死にます(笑)
マット・デイモンもそのだらしない身体を締めようと一念発起NIKEを履いてトラックを走ろうとしますが、10メートルも走らないうちに「無理無理キツすぎる」とやめてしまいます。

懸命だ!と思いました(笑)
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