レオン

AIR/エアのレオンのレビュー・感想・評価

AIR/エア(2023年製作の映画)
3.8
引き込まれたが、"期待した シーン" が、なかった・・・。
それが何なのかは ネタバレ になるので、ラストに記載。

まず冒頭、映画会社のロゴが出てすぐ、聞こえてきたイントロに、うぬ!これはダイアーストレイツの、「Money For Nothing 」スティングをゲストボーカルに迎えた80年代の大ヒット曲。 その後も、クラッシュ、ZZトップ、REOスピードワゴン、ビッグカントリー、シンディー・ローパー、ブルース・スプリングスティーン、等、ROCK・POPのヒット曲がズラリ! 
アディダス側のプレゼンシーンは RUN DMCの「My Adidas」という曲らしい。
(1曲=1~2分ぐらいで、全体で30曲近くも挿入されているようだ♪)

さらに驚いたのは、The Dazz Band という、ソウルのファンキーナンバーが聞こえた!その瞬間、足が踊った♪ 「Let It Whip」これは当時ソウル系のディスコで人気あった名曲で、一般の方は知らない方が多いと思う。 この映画の音楽担当は相当「幅」が広い!
https://www.youtube.com/watch?v=Gd3gl5gnMeA

おっと、音楽ファンの私はこれらの事を書き出すと止まらないので、作品に戻ると、物語はナイキがイメージキャラクターに、M・ジョーダンと契約するまでを、時系列で横道にほどんど逸れずに追っている。 それだけの事で映画になるのかと思うが、まず誰を選ぶがという時点から始まり、予算配分、交渉術、・実際の靴デザイン・プレゼン等々、事実はこうだったのか~と、とって付けた様なフィクション物語でなく、詳細を見せつけられる展開にぐいぐい引き込む。 

コンビニでバスケ通の店員との会話も、堅くなりがちな物語にスパイスを効かせてうまい演出。

ただ、80年代の雰囲気を増すためか、映像がややソフトフォーカスで、色も浅め。 そして画角もワイドでない。
まあ史劇という作品ではないので、そこまで拘らなくても、もう少しクリアな映像でもよかったのではと思う。

演技的には、主演デイモンがお腹を出た役に頑張りを見せているが、それほど心情を奥深く描いている様なシーンはなく、アカデミー俳優賞にノミネートされるような役柄はない様に感じる。 ただV・デイビス(2016年アカデミー助演女優受賞)の存在感はかなりのもので、私はそれほど好きな女優さんでないのだが、"貫禄あるおばちゃん" を演じさせたら、ハリウッドでも指折りだ。

ややネタバレ↓

後半、デイモンが掟破りの家庭訪問をしてまでようやく面談を取り付けたあたりから、物語がかなり動き出し、障壁を少しずつ壊していく当たりも見所。 そして提示額がアディダスは同額+メルセデスという条件を知り、失敗を匂わせてからの契約、と見る者もハッピーにしてくれるのだが、それ以後の成功描写がない・・・。

自分はそこから、ジョーダンが試合で勝ち、ナイキの売り上げが上がり、さらに素晴らしいプレーを見せ、また売り上げ上昇で○○万足、罰金を払ってもその目立つシューズは売れ続け、やがてシェアがアディダスに追いつき、遂には追い抜いて○○%に!

というような成功譚的な描写が続くと思っていた。
その描写と共に、「よし! もっと活躍して、もっと売れろ!」と同調するような感動を与えてくれると思った・・。
が、わずかな静止映像をバックに、文字テロップで「その年 "エアジョーダン" は○○億ドルを売り上げた。」
えっそれだけ? 
(その後の経過的シーンはじわっとくる物を感じたが)
なんか、クイーンの「ボヘミアンラプソディー」を見ていて、最後にライブエイドに出演して、観客に大歓声で迎えられる所で、ライブシーンなしに終わってしまった・・そんな感じがした。

私が監督なら、ジョーダンの活躍に比例して、ナイキの売り上げ上昇するシーンを10分ぐらい追加編集して、もう一段階、観客の感動を増せただろうと、身の程知らずに思ってしまったぐらい・・。
う~んもったいない。 

結構、楽しめた作品ですが、最後に少し肩透かしをくらった感じで、私的には現在の★平均4.1には届かずの評価に。
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