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AIR/エアのシネマノのレビュー・感想・評価

AIR/エア(2023年製作の映画)
4.0
『ベン・アフレック、貴方は映画界のミスター・ミヤギか。お手本のようなシナリオとドラマが光る一作』


誰もが知る「エア・ジョーダン」誕生の物語
マイケル・ジョーダンとナイキの契約秘話
そして、
自分の信念を貫いて偉業を成すお仕事ムービー

その全てにおいて質の高い、お手本のような映画であった。


いまやDCEU【バットマン】シリーズなどにも出演し、名優どころかビッグスターでもあるベン・アフレック。
彼は同時に映画の作り手としても抜群に優れていることを改めて証明する形となった。


【グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち】(97)で、盟友マット・デイモンとともに若くして脚本家としての才気を認められ。
【アルゴ】(12)では、アカデミー賞の作品賞まで獲得し。
そしてまたも、世界に優れた映画を届けてくれたことに感謝。


自ら演じた"シュードッグ”ことフィル・ナイト、そして改めて盟友として主演を担ったマット・デイモンが演じるソニー・ヴァッカロをはじめ…
登場人物のキャラが立つ丁寧な演出、爽快な終盤にかけて心地よく伏線が起爆していく脚本。


特に、素晴らしい"バスケの目”を持つソニーがベガスのカジノで荒稼ぎした後に、全てスッてしまう冒頭。

自分の堅い信念だけを武器に突っ走り、主人公として困難に立ち向かう彼の強さに観客が惹かれていくなかで、友人かつ同僚のロブがかける言葉による、"強さ”の根幹と視点の転換。

それでも…だからこそ、観客もナイキとともに一世一代の大勝負を見届けたくなる、さりげないドラマ演出はニクいほど良かった。


この映画は、どんな時に観ても、どんな人が観ても、「映画とは楽しいものだ」ということを教えてくれると思う。
そして何より、「エア・ジョーダン」という全世界の人々の希望の翼となったシューズを改めて手にとってみたくなる。


映画監督としてのベン・アフレック。
かつてのジェイソン・ボーンから、演技も見た目も亡き名優フィリップ・シーモア・ホフマンに似てきた(気がする)マット・デイモン。
製作を担ったAmazonスタジオ。

ナイキがマイケル・ジョーダンに賭けたように、今後のよき映画の未来を彼らにベットしたくなる一作だった。

自分だけではソニーのような"目”はなくとも。多くの人も本作を評価したのだから、例えベガスでも負けることはないだろう。


▼邦題:AIR/エア
▼原題:Air
▼採点:★★★★★★★★☆☆
▼上映時間:112min
▼鑑賞方法:映画館鑑賞
▼鑑賞劇場:T・ジョイ PRINCE 品川
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