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アナログのharunomaのレビュー・感想・評価

アナログ(2023年製作の映画)
2.4
波瑠ファンとして一応観に行く。これが東宝枠ということ。
もちろん翔んだカップルではない。
クソ下手なバッハ無伴奏 Largo から始まるこの映画は、ヴァイオリニストの肖像が嘘みたいに三流なのだから、もはや演奏する動作も嘘というより、完全に、手の動きはやらないという属性のイメージのみを付与し、クラシックなる高貴な野蛮さを人一倍馬鹿にする結果となるが、フレーミングもリズムも間違いだらけで進んでいくカバレッジスタイルが居心地悪い。

エンドクレジットでこれが板倉陽子のカメラであったことを思い出し、「陽だまりの彼女」からたった10年でよくぞここまで堕ちたと。期待していたのだが。
邂逅の振り返りも最悪のフォーカスであった、いいんですかあんな適当なファーストショットで。その後も9割方意味不明なショットばかりだった。
アナログと言うならフィルムで撮ってくれ
それでも何か90年代風のテレビドラマの代替としてかなり薄く機能はする。
邂逅の度合いもなんとなくマチネ。

風が目に染みる冬の夜の広尾の帰り道、両人が自然と風に涙目になっているシーンで、「クラシックが好き」と言葉にする波瑠は、なかなかよかったし、ラストも御都合主義ながらというか、ああいう風にしか、おそらく収まらない。板谷由夏があまりに強すぎた、渋い。最後は一瞬、ドヴォルザーク:ロマンティックな小品。

冬の陽光の中、死者の声として響く波瑠の手紙の声が、それはそれ。素晴らしい強さがある。回想の方が一枚上手。おおマチネだ。「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」

『Dolls』の前日譚といったところか。

追悼のビートたけしの原作は、そのまま永久に女性が不在のまま、実は根源的には他者なき武自身がすでに埋葬されているかのように彼自身の方がすでに応答はなく、もはや誰もいないのだろう。あなたの考える女性像はクソだ。ブラウン管のテレビととも海底に沈んでくれ。藤島ジュリーK.と製作に書いてあるが、氏名NG記者リストが出た昨今の時事も、元Jr.として言わせてもらえば、冒頭数ショットの日常の二宮の映像(検察側の罪人では木村共々ジャニーズという独特の画圧ジャンルがギャグとしては面白かったが、作られた無料感がすべてだ)を見るにつけ、取り巻きの俳優陣と比べてチグハグに思えるジャニーズ枠の映画主演俳優を今後観る機会が少なくなることを願う。魂なきアイドルは、シネマにはならず、金の海で溺れ死ぬだけだ。相米慎二以外は。2001年9月9日
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