こなつ

アナログのこなつのレビュー・感想・評価

アナログ(2023年製作の映画)
4.0
北野武(ビートたけし)さんが初めて書いた純愛小説「アナログ」の映画化。これがビートたけしさんの恋愛観?とびっくりしてしまう程の純愛ストーリー。

アナログ世代の私達の青春時代は、恋愛するのもデートするのも本当に大変だったのだと改めて思い出す。何かの事情で会えなかっただけで心までが行き違う。そんな状況の中、会いたいと切実に思う主人公の気持ちを二宮和也が自然体で温かく演じていて胸を打つ本作。

インテリアデザイナーの水島悟(二宮和也)は、ある日自分が内装デザインした喫茶店「ピアノ」で、みゆき(波瑠)という女性に出会う。彼女に惹かれた悟は連絡先を聞くが、彼女は携帯電話を持っていなかった。毎週木曜日の夕方、週に一回だけ会う約束をした2人だったが、みゆきは突然姿を現さなくなってしまう。

自分の手柄を上司に取られても笑っているだけの悟は、お人好しで頼りなく見えるが、仕事に打ち込む姿、みゆきを思う気持ちは男らしい、強い信念を感じる。母(関根恵子)に優しく接する息子、友人の高木(桐谷健太)や山下(浜野謙太)との厚い友情、人として魅力ある悟を二宮和也が好演。謎めいているが、美しく気品あるみゆきを演じた波瑠もまた素敵だった。

海辺の凧揚げ、糸電話、なんて素敵なデートだろう。会って話すだけで幸せな時間を共有でき、絆を深めて行くそんな2人が眩しかった。

みゆきが姿を消した事情、秘められた過去と悟への思い、そんな真相が明かされた時の悟の決意。純粋に人を愛する気持ちの大切さが詰まった作品だった。
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