旅するランナー

アナログの旅するランナーのレビュー・感想・評価

アナログ(2023年製作の映画)
4.2
【また、夢になるといけねえ】

ビートたけしによる初の恋愛小説を映画化。
連絡先を交換せず、木曜日の夜に広尾の喫茶店「ピアノ」で再会できるかで付き合い続ける男女の純愛。
小説では、スメタナ「我が祖国」、落語「芝浜」を愛するみゆきは、理想の女性像でした。
そのため、深い愛へと昇華するラストにメチャクチャ感動しました。
悪友二人の漫才みたいな掛け合いも、たけしらしくて面白かったです。

映画では、二宮和也&波瑠が、この控えめな純愛を続けるふたりを見事に演じています。
小説に出てきたのかどうか覚えてませんが、海辺の糸電話のシーンがとても素敵です。
アナログな付き合いがイイ感じで表現された、美しい場面です。
桐谷健太&浜野謙太による悪友たちとの、アドリブのような絡みも楽しめます。
それと、ロケに使われた広尾の「Nem Coffee & Espresso」にも訪れたくなります。
リリー・フランキーのような店主はいないでしょうけど...

この映画はベタなラブストーリーです。
誰もがデジタルツールを持つ今の時代にあっては、こんなの有り得ねぇと思っちゃいます。
ほんと夢のような話です。
アホらしいと思う方もおられるでしょう。
でも、映画を観ている間だけでも、夢を見ていてイイんじゃないでしょうか。
恋愛映画なんて、「芝浜」のような優しい嘘みたいなもんなんですから。