たくみ

アナログのたくみのレビュー・感想・評価

アナログ(2023年製作の映画)
4.3
【今日からずっと木曜日】
原作未読。
久々に恋愛系の映画観ましたが、大人の恋愛映画という感じでちょうど良かったです。
もうこの歳になるとキラキラしてると観れないんですよね、、、
変な設定なし。とても誠実なストーリーに仕上がってました。

題名通りアナログな方法で繋がっている2人のお話。
絶対に大変な事の方が多いだろうけど、この2人の繋がり方がとても眩く見えました。

毎週木曜日にカフェに行けば会える。
会えなかったらどちらかに大事な用事があったと思って仕方ないと思う。大人だなぁ。
でも二人とも閉店まで待ち続けるくらいには会いたいと思っている姿にキュンキュンしました。
(ええ大人がキュンキュンとか使わんほうがええかな、、)

描き方で一番良いと感じたのは「アナログ」も「デジタル」を良いものとして描いている点でした。
携帯を使わないことで毎週木曜日が楽しい日になるし、GoogleMapを使わない事で路地裏が冒険になる。
ここの描き方は予想できたのですが、後半の「デジタル」の描き方にはハッとさせられました。
普通の人が携帯持つだけならなんてことないシーンだが、みゆきが携帯を持つことに意味がある。
みゆきが携帯を持ちたいと思うほど、携帯で連絡を毎日取りたいと思えるほど悟が素敵で愛おしい人であることが、ひと言でスッと伝わるあのシーンはとても良い描き方だったと思います。

中盤からの展開が綺麗ごと過ぎると言えばそうなのかもしれないですが、映画くらい綺麗ごと並べても良いかなと思っています。
ただただその人を思って真っ直ぐ行動する姿こそ本当の愛だと感じました。

別に伏線回収映画ではないですが、序盤わからなかった携帯を持っていない事やハグが多い事の理由が無理のない範囲で示されるのもとても良かったです。

演者にもきちんと触れておきたい。
ニノと波留さんはどちらも素晴らしいです。
2人とも品の良さが溢れ出ていました。特に波留さん。
ああいう方本当にいそうだから

ニノも演じている感じじゃなくていつものニノって感じでとても良かった。
やっぱりクールな役より良い意味で普通な役を演じてほしい。モンゴルとか行かなくていい。

友達2人も最高でしたね。
「普段ふざけているけど主人公になんかあったら最高の動きしてくれる友達」を演じさせたら向こう百年右に出るものはいない桐谷健太さん。さば缶買いに行ったんじゃなかったんかよ。ああいう事をサラッとやって黙っておける男に憧れます。
ハマケンはハマケンでしたね。ああいう奴とつるんでるのが一番楽しい。
3人のシーンはほぼアドリブなんですかね?
3人とも自然体で、特にニノがいつものニノ過ぎて笑っちゃいました。

いいぁな、こんな恋愛したいなぁと思えた1作でした。


【その他メモ・独り言】
・ニノが落語したらそれはもう立川談春なのよ。
・カラオケのシーンが素人の表現力じゃない。
・お酒飲むシーンなどでぶつ切りに映像を使う技法が多用されていて楽しい時間の総集編っぽくて好き。
・鼻歌を歌うみゆき
→周りの人はびっくりする。おそらく今まで塞ぎこんでいた彼女は音を奏でるような行為はしなかったのでは?
 悟と出会い前に進もうとしている事がわかるシーン。
・海で糸電話とか人生何回繰り返したら出来るようになるやろか。
たくみ

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