ノラネコの呑んで観るシネマ

プーチンより愛を込めてのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

プーチンより愛を込めて(2018年製作の映画)
3.8
1999年の大晦日、エリツィンの辞任と共にプーチンが大統領代行に指名され、彼の広報ドキュメンタリー映画の監督となったのがビタリー・マンスキー。
プーチンは何も公約を掲げないまま、3ヶ月後に大統領となる。
約1年間の記録を、今は亡命者となったマンスキーがまとめ上げる。
為政者としての目的を語る若きプーチンには確かに魅力があるが、現在では顕著となったソ連回帰姿勢も既に垣間見える。
プーチンの選挙を支えた仲間たちが、メドベージェフ以外殆ど全員その後野党に転じているのが面白い。
映画は最初の一年を淡々と追ってゆくが、政治家引退後の話をするシーンは嘘には見えない。
23年後に私たちが見ているモンスターの芽は、いったい何時生まれたのか。
本当の嘘つきは9割の真実に、1割の嘘を混ぜて語ると言うが、画面の中の男は本念をどの程度語っているのか。
のちに独裁者になる男の観察記録として、なかなかに興味深い。