ねむろう

プーチンより愛を込めてのねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

プーチンより愛を込めて(2018年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_171


前と後ろ
時代はどちらに進むのか


【簡単なあらすじ】
1999年12月31日、この日、ロシア連邦初代大統領ボリス・エリツィンが辞任した。彼は自身の後継者としてウラジーミル・プーチンを指名、3ヶ月後に行われる大統領選挙までの間、ロシアの新しい憲法、国旗は若き指導者に引き継がれたプーチン大統領候補の選挙用PR動画の撮影を依頼されたヴィタリー・マンスキー監督は、大統領選挙への出馬表明をせず、公約を発表しないまま、名目は違えど“選挙運動”を展開するプーチンの姿を記録していく。ロシア各地へ足を運び、諸問題の解決、第一次チェチェン紛争の"英雄"たちへの慰問や恩師との再会を"演出"したプーチンのPRチームは、国民が抱く彼のイメージを「強硬」から「親身」へと変化させる。マンスキー監督は、オフィシャルカメラマンながら、ソ連時代の旗や国歌が使用されていることに不安を覚え、プーチンに直接斬り込んでいく。1999年と2000年の大晦日、2000年3月26日の開票日当日の、エリツィン元大統領の自宅での貴重映像を辿ることで、プーチンの本当の姿が炙り出されていく。



【ここがいいね!】
ソ連が倒れて、初代のロシア大統領として活躍していたエリツインのあとを引き継いで、2000年に臨時的ではあれど、大統領代行に就任したプーチンがどのような過程で正式に大統領になっていったのかを、1999年の12月 31日から2000年12月31日までの1年間を記録した映像で振り返るという、非常に特殊な映画でした。
実際に制作されたのは2018年ですが、その当時、その1年間の中でプーチンが口にしていた言葉の端々に、今現在のロシアの姿、プーチンの姿を垣間見ることができる品でした。
さらに、その中で特徴的なのは、プーチンと同時に記録されていた、エリツィン元大統領の姿です。そこには、喜びと状況が固まってから気づく悲しみが図らずもフィルムに残されてしまっていたように思います。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
ドキュメンタリーで、監督のナレーションも入ってはいますが、それ以外のところがあまり説明をされずに進行します。ましてや、プーチンが代行として指名され、実際に就任する1年間の映像になりますので、その当時のロシアや世界はどうだったのか、エリツィンはどんな人物で、プーチンはどういう人物だったのかということを説明していてもよかったのかなと思います。



【ざっくり感想】
2023年現在でプーチンを語る上では、批判をされる対象になってしまうわけです、ここまでの中でプーチンがロシアという国のためにどんなことをしてきたのかというところも、合わせて論じていくことも重要だと改めて思います。
もちろん、中立性を重視することがこの作品の本来の目的であるとも思いませんが、プーチンを批判するだけで、この作品の価値として良いものかということも思ったりするわけです。
そのあたりの捉え方が若干難しくなってしまうこの時代に、この作品を見ることができたということ自体が良かったのかなと思います。
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