ぶみ

交換ウソ日記のぶみのレビュー・感想・評価

交換ウソ日記(2023年製作の映画)
3.5
お前、だれ?

櫻いいよが上梓した同名小説を、竹村謙太郎監督、高橋文哉、桜田ひより主演により映像化した青春ドラマ。
学校イチのモテ男子から、移動教室で受け取った手紙をきっかけに交換日記が始まったものの、実は親友宛ての手紙だったことから、気まずくなっていく主人公等の姿を描く。
原作は未読。
主人公となる高校二年生のモテ男子・瀬戸山を高橋、手紙を受け取り友人に成り済ましたまま交換日記を続ける女子高生・黒田を桜田、瀬戸山が本来手紙を送った相手・松本を茅島みずき、黒田の元カレ・矢野を板垣瑞生が演じているほか、クラスメイトや先輩役として曽田陵介、齊藤なぎさ、木内舞留、増井湖々、高橋大翔、木村風太、市川理矩といった若手キャストが集結。
たまたま、時間が空いたものの、基本的にアニメに興味がなく、ましてや某巨匠監督作品に心を動かされたこともない私としては、現在タイムラインを賑わしており、世間的にも話題となっている某作品には全く食指が動かなかったため、平日にもかかわらず、混むコンセッションを横目にチョイスした観る予定のなかった本作品、結論から言うと、キラキラ青春モノとして及第点の仕上がり。
観る前はキラキラし過ぎてないかと一抹の不安があり、実際、男女問わず顔面偏差値が高く、泥臭いシーンも一切ないという、まさに高校生の青春時代の良い面のみを切り取った作風やベタな展開ではあったものの、それが全て安心感と、そこから来る心地良さに繋がっており、不覚にも終盤、胸を熱くしてしまった次第。
何より、本作品の特筆すべきポイントは、高校生以外、特に大人が完全にモブキャラ扱いされているということ。
普通、青春モノでは、教師であったり、親であったり、はたまたバイト先の店長であったりと、何らかの形で、中堅、ベテランの俳優陣が脇を固め、物語に絡んでくるもの。
しかし、本作品では、瀬戸山の家庭が日中、足が不自由な祖母と妹がいるという設定がある程度で、実際その二人がワンシーンで登場するほか、ダンディ坂野と平子祐希がクレジットされているが、いずれも一瞬の登場と、物語に大人が関わってこず、殆ど顔も出さないという徹底ぶりは、今まで観てきた青春モノの中でも稀有な存在ではなかろうか。
その分、主人公等のやり取りに終始スポットが当てられており、若いパワーがスクリーンから滲み出る映像は、十分満足行く出来栄えであるとともに、入場特典でもらったチェキ風オフショットカードを手にして歩くのが、流石に恥ずかしかった一作。

女子には塩。
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