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ドキュメント サニーデイ・サービスのISHIPのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

シネクイントにて舞台挨拶上映の回。

まず、僕はカンパニー松尾監督の撮る画というか編集が恐らく苦手な気がした。ただ、サニーデイ・サービスというバンドが(こんな物言いは本当に失礼なのだろうけど)、あまりにドラマチック過ぎるとすら言える歴史を持っていて、かつその歩みをまだ止めることは無い、そんな奇跡的な状態を、ドラマチック過ぎない、悲劇の中から這い上がったヒーローみたいにはしない、という温度感に仕上げているのは見事だと思う。あくまで、今の、そしてこれからのサニーデイ・サービスに焦点が当たっていると思う。でもそれをするには過去を遡る必要がある、そういう構成だったと思う。
2018年の年の瀬、曽我部さんと田中さん2人だけのライブに幸運にも行くことが出来た。その2週間ほど前には、2016年以降リリースの3枚のアルバム(4枚とも言える?)の総括的なライブをサポートメンバーを入れたバンド体制で行った後だった(余談だがその頃の編成でのライブは最後だったように思う。その頃の演奏もほんとに凄かったのでライブ盤を参照して欲しい)。その時のライブでもたっぷりやっていたが、映画でも書いていた通り2人でも36曲もの曲を演奏していた。僕はこの映画で思い出したのは、この日のbaby blueを聴いていた時、なんだか晴茂さんのドラムが聴こえてくるように思えたことだった。baby blueなんてサニーデイの代表曲のひとつだし、このライブの演奏を選んだ監督も同じ思いだったのだろうか、と思いながら泣いてしまった。
僕は高校生の時にサニーデイを知ったが、その時には既に解散していた(劇中での夏目知幸さんと同じように出会ったし、ソロでの曽我部さんの声に同じように驚いていたくちである)。RSR2008の復活ライブも観ているし、それ以降のライブにはできるだけ足を運んだ。だけど、それでもサニーデイ・サービスがこんな足取りを辿ることを予想出来たものはないだろう。アルバムの完成度とかは一度置いておいて、サニーデイ・サービスは常に自分たちを更新し続けている。僕はそんなところがサニーデイ・サービスの一番好きなところで、現存するバンドの中で一番応援してしまう理由の一つだ。かっこいい。かっこいいよサニーデイ・サービス。やりたいことをやり続けるサニーデイ・サービスは、ずっとかっこよくあり続けてくれるだろう。晴茂さんも酒飲みながら見守っている。
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